【勘違い】呼子
「やっほ〜鬼太郎!」
「あ!」
鬼太郎がちょうど長屋の前を通りかかった時 椅子に腰掛けている見知らぬ子供妖怪から声を掛けられた
「だれ?」
「僕 呼子!たまに横丁に遊びに来てるんだ!」
鬼太郎も椅子に腰掛け足をプラプラさせながらお互いのことを話し始めた
そんな2人の出合い
と 呼子が急に何かの気配を感じ取った
「あっ!蒼坊主おじさんがもうすぐ来るよ!」
「えっ!!!!」
鬼太郎は声をあげて驚いた!
蒼坊主兄さんに逢える…!
そんな自分の心を読まれたかのような出来事がたった今 なんの拍子もなく起こった!
鬼太郎は昂ぶる気持ちを抑えられず
「僕 迎えに行ってくるね!」
「僕も行く!」
そう言って呼子の後を追った
*
人間界にて
「お〜い!呼子ぉおおお!」
「やっほー」
「 やっほぉ…」
行き止まりのブロック塀に向かって叫んでいた蒼坊主の元に2人が到着した
さっそく横丁への道を案内し 3人は一緒に鬼太郎の家へと向かった
「わぁっ!」
「ちょっとおじさん!!」
蒼坊主は2人を両脇に抱え込んで木の階段を片足で一段ずつ登りそのまま部屋の中へ
が、急に砂かけお婆に呼ばれた呼子は1人長屋へ戻っていった
*
部屋の中では
目玉おやじに深々と挨拶をする蒼坊主
蒼坊主の膝に頭を乗せる鬼太郎
鬼太郎のだらしなさに「トホホ」と呟く目玉おやじ
「ちゃんと食べてるのか?鬼太郎」
「たべてるよ?」
「それにしても軽いなっ…てイデデデ!」
「あはははv」
鬼太郎は蒼坊主の口を両親指で横に引っ張った
蒼坊主も同じように人指し指と親指で
「ひらひ…( いたい…)」
「お!歯が随分生えたんだな!」
「そうなんじゃよ だんだん滑舌もよくなってきておる」
「やっぱ成長を見届けれるってのは嬉しいもんだぜ!」
「……ひらひ…」
楽しい時間はあっという間に過ぎていった
*
妖怪横丁の標識前にて
「また頼んだぜ!呼子!」
「わかってるよ!蒼坊主おじさん!」
「鬼太郎も元気でな!」
「またっまた来て!」
「分かったって!そんなに引っ張ったら服が脱げちまうっ」
蒼坊主は鬼太郎の頭をクシャクシャっと撫でると 鬼太郎の顔が一段と綻びた
そして夕日の沈む中
2人の小さな妖怪らに見守られ 服の乱れを直しながら横丁を後にした
*
ある日
長屋の椅子に呼子の姿を発見した鬼太郎は手を振りながら駆け寄り 隣に腰掛けた
「………vv」
「・・・・・」
とくに会話をするわけでもなく 並んで座る2人
でも 鬼太郎の目線だけは呼子に向いていた
それにやっと気付いた本人は頬を赤く染めこう言った
「……鬼太郎」
「ん?なぁに?」
「えっと…あっあまり見つめられると…僕照れるよ///」
「じぃ〜…」
「きっ…鬼太郎〜////」
早く僕の心を読んで!
と、鬼太郎は呼子を見つめ続けたのだった
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