【落し物】ネコ娘





木々の匂いが漂うゲゲゲハウスにて

「みてvとうしゃん」
「ん?おお〜」

鬼太郎は頭の上に乗せたソレを目玉おやじに見せ付けていた

「誰に付けてもらったんじゃ?」
「ぼくです!拾ったのv」
「おぉそうじゃったか〜似合っとるぞ 鬼太郎」
「vvv」

鬼太郎は目玉おやじに褒められたその姿を 友達 に見せようと思い 家の階段を一段ずつ下りて街の方へ向かった
小さな歩幅で根の張り巡らされた森を抜け 視界がいつもの明るさに戻った時 何かに気付いた鬼太郎はその歩みを止めた

鬼太郎は 友達 の家を知らなかった

「はぁ…」

1番最初に見せたかった
と 少し肩を落とした鬼太郎は次の 友達 の家に向かって歩き出した


大風呂屋敷の前に差し掛かった時 女の子が地面に膝を付きメソメソと泣いていた
怪我でもしたのだろうか と思い鬼太郎はその子に近づいて声を掛けてみた

「どうしたの?」
「…ぅ…あのね あのね あたし…髪飾りを落としちゃったみたいなの…」
「かみかざり?」

鬼太郎と同じ髪の長さをしたその少女は何処かにお気に入りのリボンを落としてしまったらしい

「いっしょにさがすよ!」
「!…ありがとう…」

初めて出逢った2人は 家の隙間などを覗き込みながら少女の大切な落し物を探すことにした
鬼太郎より少しだけ背の低いその子は 暗闇になると目が少し光る


*


「あった!」

地面より若干下の方から鬼太郎の声がする
その声が発せられた場所に少女も慌てて駆け寄った

「どこどこ!?」
「ほら!あそこ!」

鬼太郎は水路の水面に映っている赤いリボンを指差し 右手を伸ばして懸命に取ろうとしていた

「もう…少し…」
「そんなに身を乗り出したら危ないよ!」

少女は鬼太郎の身体を支えながらそんなセリフをはいた
その時

「うわっ!?」
「きゃっ!?」

狭い隙間からいきなり突風が吹き込んだ
砂埃が舞い2人は思わず目を瞑る
その時、伸ばしていた鬼太郎の手に何かが触れた
風が止み ゆっくりと閉じられた瞼を開けると―

「あっ!…とれた!とれたよ!ほらっ!!」

その手に握られていた 赤いリボン を後ろにいた持ち主の手へと渡す

「わぁvありがとう!」
「へへv」

2人は階段をのぼり地上へと戻ると 少女は慣れた手付きで髪にリボンをとめ
鬼太郎はその子と一緒に次の 友達 の元へと向かい直した

「おばばぁ〜」
「なんじゃ?おぉ鬼太郎とネコ娘じゃないか どうしたんじゃ?」
「みてv」

鬼太郎は目玉おやじと同じように笑顔で頭のソレを指差す
が―

「ん?何もないようじゃが…どうしたんじゃ?」
「あれ…?」

反応が全く違った
鬼太郎は慌てて髪を手で触ると ソノ感触が全くないことに気付いた

「どこかにおとしたかも…」
「じゃ 一緒に探してあげる!」

2人は砂かけ婆がさっき口にした名を思い出しながら 口を開いた

「ありがとう ネコ娘!」
「さっきのお礼よ 鬼太郎!」


そんな2人の出逢い






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