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ただいま私は、
任務を終えアジトに向かっていた

隣には飛段が、無言で歩いてる。



今回の任務は、
二人もいらなかった。

いたって簡単な‘忍具補充任務’

街でクナイやら手裏剣やらを買い占めて、時空間忍術でアジトに送る…

ただ、それだけ。

ほらね、こんなの一人で出来る。

なのにリーダーは、
「女の子一人で歩くのは危険だ。それにスミレは買い物、好きだろ」、だって。


忍具大人買いしたって、
嬉しくねェよ。

私が好きなのは、服とか、服とか服とかたまにアクセとか、

そういうものの買い物なんだよ。

何処の世界に忍具買い占めが楽しい、だなんて言う奴がいるんだよ。

…いたかもしれない。


でも、これらの文句をぐっと堪えて、私は任務に出た。

女の子扱いは、
ちょっと嬉しかったから。
 
だけど……



「よっ、と。…ほら」


二人組の相手が、飛段なんて。


私が飛段を好きなこと、リーダーは知ってるはずなのに。

神のイタズラにも程があるよ。

あのくそピアス…じゃなかった、リーダーは私と飛段を任務に向かわせた。

飛段は小川の真っ二つに割れた橋の瓦礫を使い、飛んで渡り、

私に手を差し伸べた。


『…こんなの一人で渡れるよ』

私は飛段の手を断った。


誰かもう一人いてくれたら、上手く喋れるのに。

『ありがとう』って素直に言って、その手に甘えることが出来るのに。




「バァカ。
女は男が守るもんだろ」




そう言って、手を引こうとしない飛段。


『………』


私が黙って飛段の手をとると、

飛段は自身の方にぐいっと引っ張って、私は向こう岸に渡ることが出来た。


『ありが、と』

「……ん」


私達はそのまま、アジトへと歩み始めた。



『………』

「………」



飛段が、何も喋らない。


任務がよっぽど退屈だった?

そうだよね。

今回の任務は殺しがない。
 
飛段の崇拝しているジャシン様って人に捧げることが出来なかったもんね。



それとも…


私との任務が嫌だった?

そうだよね。

私二人っきりになると緊張して、素直じゃないし、喋らないし。

一緒にいて、楽しくないよね。




……あ、
自分で言って、泣けてきた。




敵「お前ら、暁だな!」

いきなり上の方から現れた敵。

ざっと10人を越えているだろうか

敵は私達を逃がさない、と周りを囲んだ。

…敵…

良かったじゃん、飛段。

ジャシン様に捧げることが出来るよ。

そう言おうと思ったけど、私は飛段の方を向いたところで何も言わなかった。

「……」

飛段が、敵を睨み付けているから

敵「ひっ」

敵は情けない声を上げて、腰を抜かしてしまった。

「相手ならいつでもしてやるけどよォ、今は無理だから」

ほら行くぞ、て言って飛段は手を引っ張って私を歩かせた。

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