Bring a lasting peace

『ペインがいるのに雨が降ってるなんて…珍しいね』
スミレは窓の外を眺める。
「何もオレが戻ったときにまで降らなくてもいいものを」
ペインは降り注ぐ雨を疎ましそうに見る。
『ホントね、これじゃあどこにも出かけられない』
スミレはペインの隣に腰を落とす。
『でも、アナタが降らせる雨は好き』
「なぜだ?」
『だって、アナタが守ってくれてるって感じられるから』
スミレはペインの肩に頭を持たせた。
ペインはスミレの肩をそっと抱く。
『だけど、その雨が止むのはもっと好き』
ペインは首を傾げてスミレを見る。
『だって、雨が止むのは、アナタが戻ってくるときだから』
スミレは笑った。
ペインも少しぎこちなく笑い、スミレにキスをした。

『…もうすぐ戦争になるのね』
スミレは遠い目をして、ペインの服を掴む。
「平和の為には仕方のないことだ。…世界に我々の痛みを知らしめるために」
ペインはスミレを諭すように囁く。
『ペイン…』
スミレはペインの胸に顔を埋める。

『ありきたりなことだけど…愛のない世界に、平和なんて来ない』
「…痛みを知れば世界はそれを恐れる。愛など二の次。戦争も次で最後だ」
ペインの言葉にスミレは表情を暗くした。

『痛みは…自分ひとりでも知ることができる』
スミレはクナイを取り出すと、指先をぷつっと切る。
すぐに赤い血が滲み始めた。
それをペインは黙って見つめる。
『だけど愛は…自分ひとりじゃ見つけられないの。他の人から受け取ったり与えたりしない限り。…戦争は、誰かの愛しい人を奪う忌々しいものよ』
スミレは血が流れる指先を見て言う。

…スミレもまた戦争孤児だったか。

『あっ』
ペインはスミレの指先を口に含んで血を止める。
口の中に鉄の味が広がった。

「スミレ、オレが戦うのは何も、痛みを教える為だけではない」
スミレは不思議そうにペインを見つめる。
そしてペインは、スミレを強く抱きしめて言った。

「平和な世界で、お前と未来を歩んでいく為だ」


END

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