The fool born in April

『飛段……好き、です』
「…ハァ?」

今日は4月2日。
スミレは意を決して飛段に告白した。
本当は昨日のうちにするつもりだったが、冗談と思われたら困る。
「オマエ…」
飛段の鼓動はどんどん高鳴っていく。
二人の様子を皆は固唾を呑んで見守る。
「おいスミレ……オレをからかうのもいい加減にしろよォ!?」
…なんでそうなるんだよ!

『…何が?…わたし、やっとの思いで言ったのに』
スミレの顔は赤みを増し、目は潤んでいく。
『…飛段のバカ』
スミレはリビングを飛び出した。


「オマエ何やってんだよ!せっかくのチャンスだってのによ、うん」
「何言ってんだデイダラちゃんよォ!今日はエイプリルフールだろーが!」
飛段の言葉に、皆の目が点になる。

「飛段、お前は本当に馬鹿だな…今日は4月2日だ」
「それホントか、角都!?…つーか今日何かなかったか?」
「オマエの誕生日じゃないのか、うん?」
「…あ」
日付を勘違いするのはまだしも、自分の誕生日も忘れているとは。こいつはよっぽどの馬鹿だ。
皆がそう思っていることは声に出さずとも一目瞭然だった。
「そうかァ…オレの誕生日を選んで告白してくれたのかァ…あースミレ、たまんねェ!!」
「お前は四月馬鹿ではなく…四月生まれの馬鹿だな」
「角都の旦那、うめぇな!…鬼鮫の旦那、座布団2枚だ、うん!」
「持って行きませんよ」



冗談を言っていると、スミレがリビングに戻ってきた。
涙を見せまいと顔を洗ったのか、前髪が濡れている。
『飛段のバーカ!バーカぁ!!』
「…まだバカがいるぞ、うん」
スミレが飛段を好きになったのも、飛段がスミレを好きになったのも必然かもしれないと、角都は密かに思った。

「おいおい、黙ってりゃ勝手なことばっかりよォ…」
飛段はスミレに近づく。
『何よ、本当のこと言って……んんっ…!』
飛段はスミレの口を強引に黙らせた。

「オレ今日誕生日だからよ…このくらい許せよなァ…?」
飛段は珍しく顔を赤くして目を反らしている。
『え……』
スミレも突然のことに驚いたのか、ぼーっと飛段を見つめたままだ。
『…飛段、今日が誕生日なの?』
飛段含め、皆の口はしばらく半開きのままだった。
しかし飛段にとっては、今までで一番素敵な誕生日になったとか。


「…ったくよォ……オレもスミレのこと、大好きだぜェ!」

END

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