カナリアが鳴いた
▼手紙
「お元気ですか、私は元気です。小さなお友達と元気にやっています。
 私は、医者になることにしました。色んな人の役に立つために、貴方がいつか帰ってきたときの為に、私は医者になって出迎えると決めました。
 あなたが帰ってこなくても、この村の人たちの為の役に立つ医者になります。決して一人きりにならないように、健康で過ごせるように。
 私の自己満足でしかありませんが、なんでも治せる医者になりたいと思っています。
 貴方が旅立った後、村の人たちは生活リズムが崩された、と話をしていました。貴方は確実に、この村に必要な人でした。他の人が否定しても、ただの強がりにしか聞こえないでしょう。
 一度でいいのです。貴方に会いたい。」


 カヤから届いた手紙は短かったけれど、想いが伝わってきた。医者になると何度も書いてあるし。俺が必要だなんて、そんなバカげたことも書いてある。
 封筒にはカヤとウソップ海賊団の面々の写真が入っていた。その写真を入れるための写真立てを後で作ろうと思う。男部屋に置くのは危険なので、ウソップ工場に置くことにする。カヤの写真を見られたら、サンジがクレクレ言いそうだし。


「おい」
「うお!なんだぁ?」


 後ろから声を掛けてきたのはサンジだった。噂をしたからだろうか。噂と言っても、ただ考えただけだし関係ないか。


「なにしてんだよ」
「故郷から届いた手紙を読んでたんだ」
「へぇ。ん?それ、写真か?」
「違う」
「いやいや、写真だろ?」
「違うって。しつこい」
「あんだとぉ?!」


 奪うようにして俺の手にあった写真を取られてしまった。抵抗しなかったのは、写真が破れたら困るからだ。せっかく送ってもらった写真に破れた跡が残るのは避けたい。


「おいおいおい、このかわいこちゃんは…」
「友達だ」
「ふぅん?」
「返せよ」
「カノジョじゃないのか」
「はぁ?」


 サンジの手から奪い返したらわけのわからないことを言い出した。俺とカヤはただの友達なのに、そんなこと言ったらカヤに失礼じゃないか。それなのにサンジときたら、ムスッとして視線を逸らした。勝手に言って勝手に拗ねるのはとても面倒だぞ、サンジよ。


「なに拗ねてんだ」
「拗ねてねぇよ」
「カヤは大事な友達だ」
「…俺は」
「は?」
「俺はお前のなんなんだよ」
「…だ、大事な、」
「うん?」
「大事な!恋人!だ!」


 そう叫んで立ち上がり、部屋を出た。後ろからサンジの笑い声が聞こえるけれど、そんなのに構っていられない。恥ずかしさで死んでしまいそうだ。ここでウソップ工場なんかに逃げ込んだらすぐに顔を合わせることになるだろうから、ゾロのトレーニングルームに逃げ込もうと思う。サンジが怒るだとかは関係ない。
 カヤの手紙をポケットに入れて、ゾロのトレーニングルームへ向かった。



2014/06/30 03:47
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