カナリアが鳴いた
▼好き、好き、好き
 好きって言った後に指を絡めてキスをして、指を絡めたまま後ろに倒れ込んで空を見上げた。あの雲はクジラだと言うこいつの心地良い声を聴きながら瞼を閉じた。色々なことを考えていたけれど、もう考えるのは止めた。絡めた指に力を込めると苦情を言われたけれど、それだって笑い交じりに言われれば嫌じゃないことが丸わかりだ。


「好き、好き、好き…好きって言葉じゃ足りねぇ」
「なんだよ」
「女の子たちに言うような言葉じゃお前に伝わらねぇし、どうすっかな」
「…シンプルでいいだろ。変な言葉使わなくていい」
「変ってなんだよ、失礼だな」
「好きだよ、サンジ」
「…お、おう」
「照れてるのか」
「うるせぇ」


 絡めた指に爪を立てたらまた笑われた。どんな言葉も俺を満足させてくれない。それでも満足そうに笑うウソップを見ると胸の辺りが満たされたような感覚に陥るのだから、惚れた方はいつだって敵わないのだ。



2014/05/22 23:32
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