カナリアが鳴いた
▼嫉妬深さは天下一
(19さいルッチ×26さいジャブラ)


 誰かと話をしているだけで嫌な視線を向けてくるルッチは、嫉妬深くて少し面倒くさい。俺はもう慣れたけれど、一般兵なんかは睨まれただけで固まってしまって、話にならない。鍛えればどうにかなるというものでもないので、どうしようもないのだが。仕方なく話を切り上げて、ルッチの方へと向き歩き出す。睨みを利かせていたはずなのに、少しだけ穏やかな顔になった気がした。こいつも結構単純な奴だよなぁ。
 優雅にコーヒーカップを持ち上げ口にする姿は、年相応には見えない。向かいの席に座り、ルッチのカップを奪って口にする。なんでこいつは俺よりも年下なのにこんな苦いものを飲んで平気な顔をしていられるのだろうか。俺の考えを読み取ったのか、ルッチはニヤリと笑った。


「なに笑ってやがる」
「いや。苦いのだったら砂糖を入れてもいいのだぞ」
「うるせー」
「成長したじゃねぇか」
「生意気だな、お前」
「可愛いだろう?」
「頭でも打ったか」
「まさか」
「まぁいいさ。お前、俺が誰かと話してる時に睨んでくるんじゃねぇーよ。相手怖がってたぞ」
「知らん」
「嫉妬深い子猫ちゃんだな」


 短い髪をかき乱すように撫でたら満足そうな顔をした。こいつは一匹狼のようだけれど、本当は構われるのは嫌いじゃないのだ。「みんなあなたのことが好きだから、嫌がる人なんていないでしょう」と言ったのはカリファだ。そんなに好かれているとは思わないけれど、カリファが言うならそうなのだろう。
 手を頬に移動させたら摺り寄せてきた。こんな顔、他の奴に見せられるのか。可笑しくて苦笑する。


「嫉妬したのかよ」
「他の奴を視界に入れるのも不愉快だ」
「こういうところ、他の奴に見られたくねぇな。俺だけが知ってたら十分だよな」
「お前もなかなかだぞ」
「違いねぇ」


 誰の気配も感じないのを確認して、ルッチの首に手を回して引き寄せた。唇を舐めたらルッチも同じように舐めてきた。嫉妬のあとのキスは、なかなかに甘いものだった。



2014/05/22 22:35
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -