こいつの背中はこんなにも小さかっただろうか、そう思って聞いてみたらお前がデカくなったんだ!と声を荒げられた。
そんなに怒ることはないだろうに、なにがそんなに不満なのかわからない。
小さい頃、よくおんぶをしてもらったことを思い出した。
その時はジャブラの大きな背中に憧れたものだったが、いつの間にか身長は同じくらいで背中の大きさだってさほどかわりはない。
クマドリと楽しそうに話しているジャブラの背中に指を這わせたら、大袈裟に肩が跳ねた。
毎回思うのだが、なぜこの男はこんなにも警戒心を解いてしまっているのか。
それほどまでに自分たちを信用しているということだろうか。
喜ばしいような気もするが、なんだか悔しくもある。


「お、まえ、なにすんだよ!」
「小さくなった背中に悪戯しただけじゃ」
「だぁから!お前がデカくなっただけで、俺の背中は小さくねってねぇんだよ!」
「よよい。ジャブラの背中はぁ〜、昔から小さかったぞぉ〜」
「おま、ややこしくなるから入ってくるんじゃねぇよ!」
「ほうら見てみぃ。おぬしの背中は小さいじゃないか」
「クマドリから見たらみんな背中は小さいじゃねぇか!」


ぎゃあぎゃあと騒ぐジャブラをソファーに横向きに座らせて、背中に頭をくっつけた。
小さい頃から、ずっと、この背中が心地いいと思っていた。
きっと、この背中が本当に小さくなったとしても、心地よさは変わらないのだろう。


「なんだよ、気持ちわりぃな」


悪態をついてきたけど、クマドリが笑っていたし、なによりジャブラの耳が真っ赤だったので照れ隠しだというのはすぐにわかった。
でも今だけは、反抗しないでこのままでいようと思った。



2014/04/30 05:18

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