どこにでもいる普通の生徒。ういに対する坂田の印象はそんなものだった。そしてとある日を境に一週間学校に来なくなったと思ったら、次の週からはまた顔を出し始めた。
 前より周りとの交流は減っている気もしたが、授業態度は変わらず真面目だし、小テストなどの成績が下がっている訳でもない。家庭環境の変化か何かなのだろうか。とりあえず見守っていよう。坂田はそう考えていた。


「え? 上杉預かってる!?」

 居酒屋に響いた坂田の声に高杉は「声がでけぇ」と一言。少し辺りを見回した坂田は「ごめん」と言った。

「でもまた何で」
「上杉の親に頼まれたんだよ。高校で働いてる俺に任せたいって」
「それで女子高生と同棲」
「言い方やめろ」

 手にしていたビールを一口飲んで、ため息をつく高杉。

「でも、何で俺に教えてくれたの?」
「何かあった時ちょっとでも情報共有しといた方がいいんじゃないかと思ってな」
「まぁ、確かに。上杉って実際そんなにひどいの?」
「ちょっと怠くて保健室に来るような生徒とそう変わんねぇかな。けど、わざわざ人に子ども預けてんだぞ。何かあるだろ」
「言われてみれば少し大袈裟だな」
「だろ」

 テーブル上の空の皿にビールジョッキ。高杉が伝票に手を伸ばせば、坂田は「もう帰んの?」と不思議そうに高杉に聞いた。

「一応子ども預かってるしな。銀時はまだ飲んでくのか?」
「いや、俺も帰るわ。いくら?」

 こうして二人の飲み会はお開きとなった。


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