自分から男を誘ったなんていつぶりだろう。思い返しても今まで無かったかもしれない。それだけ一緒に過ごしたいと思える相手はもちろん赤井秀一だ。
 仕事終わりいつも通り赤井の車で家に送ってもらっている最中に「ホテル行きたい」と告げれば、「わかった」と詮索される事なく、ウィンカーを私の家と反対方向へ光らせた。

 ホテルに着いてからは、特にそういう雰囲気になる事もなく、お互いやり残した仕事や携帯を見ながら時間を過ごす。何となく自分のやる事に区切りがつき、赤井を見ればまだPC作業をしているようだ。邪魔にならないような声量で「先にシャワー浴びてくるね」と伝えれば、PCから目を離さず短く「ああ」と返ってきた。
 シャワーを浴び終えて、部屋へ戻れば入れ替わりで赤井がお風呂場へ。特にすることがない私はベッドに寝そべり適当にTVをつけて、夜のニュース番組を流し見る。暫くすれば赤井もシャワーを浴び終え、私の隣へと腰かけた。

「もう仕事は終わり?」
「とりあえずと言ったところか」

 TVはスポーツニュースに変わってしまった。スポーツに興味のない私。赤井はTVから視線を変えないので、そのまま見ているだろうと私は携帯に手を伸ばす。
 そして、何となく。近くにあった赤井の左手に触ってみれば視線が交わる。赤井は反対の手でTVのリモコンを手にして、TVを電源を落とした。

「するか?」
「したい、な」

 そのまま赤井の両手が私の指を絡めとり、私が怯えないように、優しく。本当に優しく覆いかぶさってきてくれて。
 ああ、私、赤井の事がちゃんと好きなんだな。その優しい口付けに目頭が熱くなってしまうのだ。


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