■難しいですね
睨まないで下さい…!
難しいですね
朝、下駄箱に入っていた手紙の一つを開ける。
"放課後、屋上に来てください。"
丁寧な言葉使いで、流石はいい学校の生徒だなと思った。
でもね、行きたくないんですけど!!
「あれ〜?もう放課後だよ?」
後ろから手紙を覗き込んできた友子。
わざとだよな。こいつ。
「そうですねー」
「行きなよ〜。待ってるんじゃない?」
「えぇ…」
嫌だな、とか思ってると友子は少し私を睨む。
「名前がそんな奴だとは思わなかった。」
「思わなくても知ってたでしょ?」
「うん。」
即答っすか!
ため息をつきながら席を立ち、名字に告げる。
「直ぐ戻るから、待ってて」
「それ、死亡フラグだよ。」
「え!?」
「いってらっしゃーい!」
手を振って笑う友子。
凄く不吉なこと言ったよね!?
「…………いってきます」
行きたくないなぁ…
***************
「えっと、」
何人もの大群に囲まれるかと思ったら綺麗な大和撫子って感じの美女がいた。
「名字さんですわね?」
あぁ!!うちの学校の生徒会副会長だ!
「は、はい……」
「回りくどいのは嫌いですの。
単刀直入に聞きますわ。あなた、跡部様、幸村様、白石様の誰が好きですか?」
「…え?」
てっきり、席を変われとか怒鳴ってくると思っていた私は抜けた声を発する。
「どうなんですか?」
「あ、っと…好きな人は…」
イケメンです。
だなんて言えるわけもなく。
黙り込んでいると、副会長さんが、顔を赤くする。
「まさか、全員好きなんですの!?」
「はい!?」
いやいやいや、違います!
あれ、でも三人ともイケメンだから正しいっちゃ正しいのか?
「許せませんわ…跡部様のファンとして…いえ、AYSの会長として、あなたを認める訳にはいきません!」
えー。認めるってどういうこと?
てか、AYSの会長だったんだ
「名字さんはAYSに所属していらっしゃいませんよね。
AYSでは、あまりに彼らに近づきすぎるのは許されていませんの。
ただ、くじ引きですのであなたに非はありませんわ。
だからAYSに入っていただき特別にAYSの皆が手を出せないようにしようと思ったのですわ…」
AYSって怖いね!!
涙出てきそうだよ!?
「でもあなたにはそんなものする価値ありません!
何があっても知りませんのよ!!」
走り去る副会長さん。
わぁ…完全にAYSに目ぇつけられちゃった。
あーあ。
なんで私はイケメンに囲まれて幸せのはずなのにこんなに不幸になっていくんでしょうか……。
腹を割って話すのって難しいですね
私の話、聞いてませんよね!?
(これから先が心配です…)