「飲め」
部屋に着くなり、温かいミルクティーを出された。未だに真っ青なネビルを落ち着かせる為だ。俺は充分に警戒しつつ、ミルクティーに口をつけた。
「ロングボトム、すまなかったな」
「いえ…あの…大丈夫です」
ネビルは謝罪をするマッド-アイを見て、少し落ち着いたのかおどおどしながら応えていた。
「そうだ。お前は薬草学が得意らしいな?スプラウト先生が言っていた」
「はい。薬草学は…その好きな科目なので」
「それなら、これをやろう」
そう言って一冊の本を取り出しネビルの前に乱雑に放り投げた。
「あの…?」
「詫びだ。なかなか興味深い本だぞ?受け取れ」
恐る恐る本を手にとりパラパラと捲っているネビル。そして本の内容を見て、表情が変わった。
「いいんですか!この本…凄く貴重なものだ!」
「わしは薬草学にはあまり興味ないものでな。良かったらまたいらない本を探しておくから暇な時でもとりに来い」
「わあ…!ありがとうございます!」
どうやらネビルの中でマッド-アイは“怖いけど良い人”の位置に収まったらしい
さて、今のところ原作通りだけどどうしたものか…
「ヒナタ!」
「!…なんですか?」
ネビルに向けられていた目が、突如俺に向けられドキリとする。
「ちょっと話がある」
「…………」
話って何だ?マッド-アイは何を考えている?まさか…俺に正体がバレているのをわかっているのか?
ぐるぐると思考を巡らせる。
「ロングボトムは帰ってもいいぞ」
「え…でも?」
ちらちらと俺の方を見るネビル
「ネビル、先帰ってていいから」
「…うん。わかった。また後でね?」
ネビルは名残惜しそうに部屋から出て行った。
さて、こいつはどう出るか…?
「ヒナタ」
「はい」
「…単刀直入に聞く。お前は何者だ」
「…ただのグリフィンドールの生徒ですが?何でそんな事聞くんですか」
「…お前はどこまで知っている?」
「なんのことですか」
「とぼけるな」
杖を突きつけられた
これは思ってたよりヤバいかも…?多分ごまかしは通用しないだろう
「………はぁ…めんどくさ」
「…ヒナタ?」
いきなり溜め息をついた俺を訝しげに見つめるマッド-アイ
もうなんか俺めんどくさくなってきたわ。殺されたくはねーけどさ
こいつも多分ここで荒事起こしたくねーだろうし、イチかバチか…
「俺は、全部知ってる。お前がハリーにしようとしてること……バーティー・クラウチ・ジュニアだってこと」
「……っ」
息を呑む音が聞こえた。マッド-アイが動揺するのがわかり、その一瞬の隙をついて俺も奴に杖を突きつけた。
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