あの災難な日から2日過ぎ、ついにマッド-アイの授業の日だ。相変わらず俺はカインと一緒にいた。最初の印象こそ面倒くさい奴だと思っていたが、つるんでみるとこいつの隣にいるのは案外楽だった。

「授業めんどくせー」

ハリポタの世界にきてからすぐのうちは、ストーリーについて色々考えたりしたのだが、いかんせん物語の中では一瞬で過ぎる時間が実際に体験するとなると当たり前に、現実と同じようにあるわけで、俺は考えるのが面倒くさくなってきていた。

しかも炎のゴブレットを読んだのはだいぶ前の事で、記憶も曖昧なのだ。

以前、一度読んだ物は殆ど忘れないという俺の特技は言ったと思うが、それはあくまで人よりも記憶力が良いという事であって、一度読んだ物は絶対に忘れないということではないので、普通に忘れたりもする。
ましてや覚えようと思って読んだ訳でもないので、より記憶は曖昧という訳だ。
まあ基本、覚えようと意識して読んだら忘れないんだけどなー

ていうか、実際、本読むたびに一々内容全部記憶してたら頭どうにかなっちゃうだろ。


「あーなんかもうだるいー」
「レン、教室行くぞ」

なんかもうだるくなって、ぐだぐだしているとカインに引きずられ、俺は渋々教室へと向かった。




*****




「出席をとる」

マッド-アイが出席簿を取り出し、生徒の名前を読み上げはじめた。

「…レン・ヒナタ」

ちろちろと舌を出し唇をなめ、ギョロっとした『魔法の目』が俺を捉える。やっぱりこいつはマッド-アイじゃない。

「はい」

とりあえず返事をして、俺はなるべくそいつを見ないようにした。気付かれてはいけない、そんな気がして。

出席簿の最後の生徒が返事をし終え、授業が始まった。

「このクラスについては、ルーピン先生から手紙をもらっている。おまえたちは、闇の怪物と対決するための基本をかなり満遍なく学んだようだ――まね妖怪、赤帽鬼、おいでおいで妖怪、水魔、河童、人浪など。そうだな?」

問いかけに対してみんなが同意した。

「しかし、おまえたちは、遅れている――非常に遅れている――呪いの扱い方についてだ。そこで、わしの役目は、魔法使い同士が互いにどこまで呪い合えるものなのか、」

マッド-アイの話なんて、俺にはどうでもよかった。隣にいるカインも、さほど興味はなさそうだった。しかし、他の生徒はマッド-アイの異様な雰囲気に呑まれているようだった。