// side Cain



ダイアゴン横丁。そこが俺とれんれんが初めて会った場所だ。
いきなり、ダンブルドアから我が家にフクロウ便で手紙が来たかと思えば編入生の買い物に付き合ってやってほしいというお願いだった。
俺は貴重な薬草をくれるなら引き受けてやってもいいと、返事を書きすぐさまフクロウを送り返した。それからまたすぐにダンブルドアから袋に入ったいくつかの貴重な薬草と、写真と手紙が送られてきた。どうやら、その編入生の写真らしい(カメラ目線ではないところから見ると、盗み撮りみたいだ)


写真の中の少年は顔立ち的にアジア系だと思う。
「なかなか美人だな。嫌いな顔じゃない」

ダンブルドアの手紙によると、彼は日本人で、レン・ヒナタという名前。もしかしたら俺のルームメイトになるかもしれないらしい。

「レン、か」

まだ性格はわからないが、これから面白くなりそうだ


そして実際に会ってみて、レンはやはり予想通り、面白い奴だと感じた。れんれんとニックネームをつけてみたりもした。

気が強くて、けれど女には甘い。
基本わがままで俺様(どっちかっていうと女王様か)な感じも見受けられるが、根は優しいだろう。
何か不安を抱えている風な所もあって(多分大抵の奴は気付かないだろうが)、目が離せない。強がりで、なんでも抱えこむ癖がある感じがするから余計に…


今日も、怪我をしてだいぶ痛い思いをしたんだろうが、皆に心配をかけまいと笑顔を振りまいていた。疲れがでたんだろう、俺が夕食の時間になったら起こしてやると言えば、すぐさま眠りについた。

ルームメイトということもあってか、どうやら俺にはだいぶ心を開いてくれてるらしい。


「安心されすぎているというのも複雑だがな…」

すやすやと安心しきった寝顔をみながら、呟く。


今まで俺の興味は薬草などの物質ばかりに向いていたのに、どうやら俺は、こいつに興味があるらしい。その興味がなんなのかはまだ、明確ではないが、なかなか厄介そうだ。


「れんれん」

俺だけが呼ぶ名前

「んー…カイン…」
ごろんと寝返りをうってレンがそう呟いた。

「なんだ?…寝言か」


寝言で俺の名を呟く、か
「まあ、今はこのポジションでもいいか…」
少なくとも今は俺が一番こいつに近いだろう

静かに眠るレンの頬を俺はそっと撫でるのだった。


その顔は普段無表情なカインにしてはあり得ないほど優しい顔つきをしていたとかしていなかったとか。



// side Cain End.