「さて、今度こそ当てますぞ」
オリバンダーが意気込みながら杖を差し出してきた。
「真っ赤な、杖?」

よく手になじむ。持った瞬間そう感じた。
杖を振りかざしてみると今度は綺麗な紅い閃光が飛び散った。

「ふむ。まさかとは思ったが……それはこのわたしも知らない杖なのです」
「オリバンダーにもわからない杖ってあるのか?」
カインがそう尋ねるとオリバンダーはいいえと答えた。
「この店にある杖は全て覚えています。この杖があることはつい先日気付いたのです」

「いつの間にか、現れた杖…か」
「そういうことです」

トリップしてきた俺に、いつの間にか現れた杖、か。どういう事なんだろう?都合良すぎるだろ。



「まあ、でもこれがぴったりみたいだしこの杖にしよう。いくらですか?」
「いやお代ははいらんよ。だいたい、元々この店の杖ではないのだし値のつけようがない」
「いや、流石に悪いだろ…」
「オリバンダーがいいと言ってるんだ、もらっておけよ、れんれん」
「そうです。この杖はあなたを選んだのですよ、ヒナタさん」
「……わかったよ。ありがとう、オリバンダー」



無事に杖を入手した俺たちは、漏れ鍋まで戻った。


「カイン、今日はありがとな」
「別にいい。暇してたし…それよりれんれん、寮はどこになるんだ?」
「…うーん。わかんねえ。(アルバスどうする気なんだろ)てか、そういえばカインはどこの寮?」
「俺か?俺はグリフィンドールだ」
「そうなんだ」

グリフィンドールか。たぶん、ハリーとかロンもいるんだよ、な?面白そうだけど、めんどくさそうだ…。




「さて、そろそろ帰るとしようか」
「おお、そうだな」


「じゃあ、ホグワーツで」

ちゅ

「え?」

何、されたんだ…?



しばらくは放心状態だったが、だんだん頭がはっきりして何をされたのか理解してきた。


「ええ!?」
ちゅって!ちゅってされた!何あいつセクハラ!?ずいぶん堂々としたセクハラだな!
そう、カインは俺の頬に軽くキスをして去っていったのだ。


……………いや、でももしかしたらただの挨拶かも?外国人だし。うん。そうに決まってる。(むしろ、そう思わないとやってらんねー)


とりあえず帰ろう…今日は歩き回って疲れたからな。うん。まじで色々疲れた。


こうして俺は、憔悴しながらもまた煙突飛行でホグワーツへと戻るのだった。