そうだ、ここいうものはたちの悪い夢なんだ。
わかっているよ。知っているよ。
そう私は心の中で結論をつけた。
周りには、女の子ばっかりで、すごく怖いものだった。
むしろ、私は関係なかった。でも、関係してしまったらしい。
このまま、おとなしくすごしていけばよかったのかな。
でも、あの子関わったからこそしょうがないのか。と溜息をついた。
「あ、君同じクラスの子だよね?」
にこやかに笑った岸谷君は、私のことを知っていた。
こくこく、と素直に頷く。
私は人見知りで始めての人話しかけられると声を出せない。
「ふふっ…、あ、そうそう用事はね…」
岸谷君は、含み笑いを見せ私に用件を伝えだした。
委員会のこと、らしい。
「ということで、頼んだよ?」
「…わ、わかり、ました…」
流石に言葉を発さないとまずいので、ありきたりな言葉を返す。
とりあえず、私はこれから図書室に行かねばならない。
そう、岸谷君に頼まれたのは委員会──…図書委員会の活動のことだった。
そして、最初の現状に戻るのである。
「で、あんたはなにやってんの?」
「どういうことなの、なんであんたなんかが…」
怖い。怖い。
なんで、なんで、なんで私が?
図書室までの道のりを普通に歩いていただけなのに。
なんで、こうなったの?
彼女らには、折原君とやらが関係しているらしく、私は関与したことないのに、何故か怒りの矛先を向けられている。
おかしいだろう。これ。
ちらり、と周りを見渡す。誰も見えない。
ピーンポーン…と無機質な放送が流れる。
あぁ、さぼってしまった。ごめんなさい、岸谷君。
「…って、あれ?なんで君はこんなところにいるの?」
ざわっ、と空気が揺れた。
「ふぅん。そういうことか。……よしまぁ、いいか」
岸谷君はわけのわからない言葉を呟きつつ、私のほうへと駆け寄ってくる。
周りの女の子達はそれを止めようとはしなかった。
「き、きしたに、くん?なんで…」
「んー…続きはまた、後でで、いいかな?」
安全なところへいくと、ごめんね、と謝られた。
「で、えーっと…、ごめんね。あれ企んだの僕なんだよ…。君を華麗に助けたくって…」
そういって、彼は苦笑してこういった。
「好きなんだ。付き合ってくれないかい?」
最初から全部夢だったんだ
そう、思いたい。
企画:人格者に提出