人形アソビ(目箱) | ナノ
::06
番外編ネタバレ気味なので、苦手な方は閲覧を控えてください。



















 学園近くに来ると、ふらふらと出てくる学生達。まだ時間的に終わる時間ではないような、と以前の記憶を探し、結論を出す。ならば禊くんもすぐ帰ってくるんだろうか。いや、今日は遅くなるといっていたから、大丈夫だろう。目の前に歩いている学生を見ると頭に何かしらが刺さっていた。抜いたら何か変わるのだろうかと思い、私とさほど変わらない身長の男子学生を見つけ、頭のものを引っ張る。ジジッ、と電気の音がし、途切れる。ふらあと倒れてくる彼を掴み、操ることにする。もう少しかわいい子がよかったけれど仕方ない。逆に眼鏡の真面目くんでよかったと思わなければ。そういう子のほうが詳しく知っていそうだし。ふと、私の手元にあるカードをもう一度触る。彼から抜いたときはひどかった電気は少し落ち着いたようだった。とりあえずもう一度刺しておくか、と思い同じ場所にさくり、と刺す。おそらく一度効力は切れただろう。
 私は禊くんに言った通りに家の近くにあるドラッグストアへと向かう。その間、彼に禊くんのことを問い詰めた。禊くんが生徒会長になったこと、須木奈佐木(すきなさき)というクラス中で割とおとなしめの女子がいきなり旧生徒会や自分のクラスに何かを投げ込み刺したこと。生憎、安心院さんという名前は聞いたことがないと歯を噛み締めながら言われたが、あまり気にしないことにする。旧生徒会長さんは療養中だからあまり話せないらしい。私が思うにこのカードみたいなののせいな気がするが。
 別れ道で彼(仮人形)と別れ、ドラッグストアで欲しかったティッシュと女の子のものを買う。さすがに人の家を汚したくないから――…いや、一般的に失礼だから。同居しているとはいえ人の家だから、いて出ていくのかわからない。
 私はゆっくりと歩を進めアパートへと向かう。鍵で部屋の扉を開けると部屋から明かりが漏れてくる。私、出る前に確認したからつけっぱなしではないと思うけれど。むしろ禊くんが帰って来ているのだろうか。しかし部屋の中には誰もいない。ほう、と一人溜息をついて買ってきたものを整理する。自分の買い物は自分の中に入れないと。漁られたら嫌だし。
 扉が開く音がして、振り向くと禊くんが帰ってきていて、なんだか疲れているように見えた。須木奈佐木という奴と何かあったのだろうか。私は知っていることを隠す為に彼に笑みを浮かべ、おかえりなさいと言ったのだった。





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