人形アソビ(目箱) | ナノ
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 にこにこと笑みを浮かべて理事長さんにお茶をせがんだ禊くんは私に対して、ちょっと外に出ていて、と言ってきた。


「…うん、わかった」


 禊くんに対して否定の言葉なんて私にはいえない。いや、むしろ肯定するしかない。そうでないと禊くんは私という存在(モノ)を消してしまうのだから。禊くんはすぐ態度を変えるからいつ消されるのかなんて考えていたりするけれど今の状況から考えてみると多分すぐには消されないんじゃないんだろうかなんて憶測をたてる。禊くんの「大嘘憑き(オールフィクション)」は恐ろしいと思う。何をやっても”なかったこと”にしてしまう。でもそんな彼にも出来ないことがあるらしい。【人を生き返させられる】ということだ。確かに「人を生き返させられる」と「元に戻す」は違う。むしろ死んだ人を元に戻すなんてもはやフィクションの域だと思う。それで生き返ったらその方は化け物としかいいようがない。
 はて…でも禊くんは安心院さんという人を倒すべく?してスキル集めなんてものをしていたのでは…?


「何、考えているんだい?遊心ちゃん」
「いや別に何も…」


後ろからかけられた声につい反応してしまった。いやでもここには誰もいなかった。どこから声が…?振り向くと天井に足をつけてピースしている女の人が見えた。黒い長い髪をひとまとめにして赤っぽいセーラー服をまとっている女の子。そしてなぜかピースをしている。どういうことなんだろうか。そして禊くんの螺子らしいものが刺さっている。


「さすがにこの体制は君からしたら目に毒か」


にやり、そんな笑みを浮かべ彼女はすとんと私の目の前にきた。そんな彼女の目は私をみているはずなのに、私を見ていなかった。


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