人形アソビ(目箱) | ナノ
::11
 禊くんがいった通りに水槽学園は潰れてしまった。私の人形も私との縁を切らなきゃな、とは思いながら何もしなかった。どうせ勝手に生きていくだろうけど。


「禊くん、本当にそのままで行くの?」
『うん。制服持ってないし。一応最近の母校だからね』


 禊くんは先月潰れた水槽学園の制服で箱庭学園に行くといった。


「それはちょっとまずいよ?」
『大丈夫だよ』


 禊くんは前の――…水槽学園の制服を着込み、私は怒江ちゃんから借りた(予備が3つあると言っていたからほとんど譲り受けたようなものという)、城砦女学園の制服を着た。ふわり、としたスカートと後ろに付いている大きなリボンが女の子らしさを強調していて少し恥ずかしい。


『遊心ちゃん、似合ってるね』


禊くんは卑怯だ。いきなりそんなことを言うなんて。


「ありがとう、禊くん」


多分聞こえていないだろうけれど、私は禊くんに礼を言った。しかし、私久しぶりにスカート…いや、制服を着た。むしろワンピースタイプの制服なんて初めてだ。結構目立ってしまうけれど大丈夫だろうか。


『じゃあ、行こうか』
「うん」


 一回私は禊くんから今向かっている箱庭学園のパンフレットを見せてもらったけれど、何かが足りないような気がした。足りない、というのはあっているのかわからないけど。箱庭学園、一体どんな人がいるんだろうか。かわいい子いるだろうか…。
 そんなことを考えている内に学園についていたらしく私はおお、と感嘆な声を漏らした。おっきい、というのが私の感想だ。


「…ここが、箱庭学園…」
『じゃあ僕挨拶してくるから、遊心ちゃんはどこか歩いてて。でもやたらに折っちゃだめだよ』
「はあい」


簡単に私は禊くんと約束をして、禊くんとわかれた。キョロキョロと首を回しながら箱庭学園をまわる。うん。広いや。迷子になりそうだ。
一応、門の場所に戻れるように道を聞いておこうと思い、私は自身の前にいた水色の髪の子に声をかけた。


「あの、ちょっといいですか?」


その子はくるり、と振り返りどことなく貼り付けてあるような笑顔を見せ、なぁに?と私に言った。




120202(120228)




::
×