人形アソビ(目箱) | ナノ
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 「危ない」と禊くんがそう言うのだから本当に危ないんだろう。でも、そこに通っている生徒はどうなるんだろうか。


「禊くん、生徒は大丈夫なの?」
『多分。でもね、生徒は逃がせないんだ『残念ながらそれが向こうが提案してきたルールだからね。でも大丈夫だよ。どうにかなるとは思うからさ』


 どうにかなる? …これはどうにか出来ることなの?
 顔に表情が出ていたらしく、禊くんは言葉を続ける。


『そうだよ。遊心ちゃん。学校がおそらくもたないだろう?』


 そういわれ、は、と気付き禊を見る。学校が潰れる、ということだ。今の水槽学園は私が見た限り、生徒はだれもかれも瞳はぼうっとしていて危ない。一歩間違えば交通事故にあってしまうのではないかと思うくらい。でも、それは今の学園がある話だ。そして学園がなくなれば、生徒たちも元に戻るのではないか、ということなのだろう。


『遊心ちゃんは、飲み込みが早くて助かるよ。』
「そんなことないよ、禊くん。私が行ったせいだからね」


 もう隠しても仕方ないと思い、自分が水槽学園に行ったことを言った。禊くんは私をみて、ゆっくり笑う。嘘ついてて、ごめんね。禊くん。


『ちなみに、僕の予測だと後一週間持つか持たないかかな。まあ次の場所は決まってるから…水槽学園には用事がなくなったね』
「禊くん、次ってどこに行くの?」
『箱庭学園。』


 そういった禊くんの顔はいつもより深い笑みを浮かべていたことに、本人は気付いていただろうか。多分気付いていないだろう。


「禊くん、私はまだだめ?」
『うん。遊心ちゃんは秘密兵器みたいなもんだしね。あ、でも箱庭学園に入って生徒でも見てくればいいんじゃないかな?一応偉い人に掛け合ってみるし』
「そっか、わかった」


 近くでいつもと違う禊くんを見ることが出来る。水槽学園で出来なかったことが出来る。
 それだけで私は嬉しかったのだった。




120106(120205)





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