生徒会室に来てくれ、と生徒会長さんはいった。私あの人苦手だからどうも…人の皮被った化け物ですよあれ。 「失礼します…」 「よく来てくれたな、見境同級生」 「めだかちゃん、こいつ頼れるのか?」 「やあ見境さん、全国大会ぶりかな?」 …ん、この人見たことある。どこで見かけたっけ…。少し眼鏡をずらし、名前を見る。ああ、阿久根君か。懐かしい名前。 「お久しぶりです。阿久根先輩柔道辞めて少し体固くなってますよ、しっかり解してくださいね」 あ、またやってしまった。仕方がないといえば仕方がないのだが…癖のようなものだし。 「そうか、ありがとう。ちゃんと解すことにするよ」 阿久根先輩はいい人だと思う、信じてくれるし。信じてくれる人がいるからこそ、私は大丈夫。 「善吉、今の見ただろう」 「あぁ、でも審判には…」 とりあえずこれを出すべきなのかな…。 「審判証明書ありますよ?」 どさ、と重い音がして生徒会室の机が少し軋んだ。そんなに多く入れてる気はしないのだけど…。 「…すげぇ」 「凄くないですよ。私公平が好きなので、自分ルールが嫌いなんです」 人吉、善吉、まさか読めない。 「えと、善吉くんでしたっけ…読み方教えてくれません?名字読めなくて」 「…俺教えたっけか?まあいいや。ひとよしって読むが…」 「ありがとうございます。お礼に一つご忠告しますね。会長さんの傍にいたいのなら、あなたはもっと強くならねばならないと思います。精神的にも肉体的にも。あなたはこの二人よりか弱いです。はっきり言いますが…。とりあえずご忠告はこの辺りで。気にしてもいいですし、気にしなくても大丈夫ですよ。あなたにもあなたの時期が来ますので」 私は言いたいことを少し言って笑顔を浮かべた。失礼だっただろうか…。 「ありがとう、気にしてみることにする」 「いえ。で、審判の件大丈夫ですか?」 「問題ない!場所は新しく出来たプールで行う予定だ。一応、水着を着ておいてくれ」 「わかりました」 連絡を受け、私は生徒会室をあとにした。 111114 prev|next |