判断ヲ下ス(めだ箱) | ナノ

私は喜界島さんに言われ、プールへ来ていた。もちろん久し振りのプールである。小さいときにはよく泳いでいたなあ、と懐かしむ。でもさすが箱庭学園、気合いが違う。

「来た、」
「どうも、喜界島さん。遅くなってすみません」

私に気付いた喜界島さんが、声をかけた。ふむ、すごいなやっぱりこの人。

「えっと、初めてまして―…屋久島先輩、種子島先輩」

奥にいる二人の先輩に挨拶する。礼儀は大切だよね。挨拶された当の本人達は名前を知られているのがさも普通かのようだったからまあ不信に思われなくてよかった。普通だったら即不信に思われるからね。

私の“異常”は人の測定値がわかること。所謂テスト結果の偏差値がわかるくらいの能力。ついでに名前とかその辺りの細かなところまで少しわかる程度。偽名なんて使ったらすぐばれちゃうかな。たまに人の中身も見える。まあ調子がよくないと出来ないけど。でも私そこまではしなくない。ただ、人の役に立ちたいだけ。私はスポーツ特待生だがスポーツ特待生ではない。スポーツは出来ない。勿論、それでは特待生ではないだろう。しかし、スポーツには必要な人がいる。それは、審判だ。一応私は審判の資格がいるものを一通り持っている。ちゃんと写真に撮ってファイルにいれてるから、疑われることはない。カードとかならさっくり入るのだが、そんなことをしてはくれないだろう。残念極まりない。

「えっとー」
「ああ、私の名前ですか、見境菜詩と言います。タイム測定がありましたら何なりと」

水泳は一秒が競われるスポーツだからね、だからこそやりたい。わくわくするよ。

「ああ、何分持つかですね、ちょっと待って下さい。ついでに喜界島さん水着をってああ、早い」

早着替えですね。私は眼鏡を外し、喜界島さんを眼前へ。

「ふむ。やっぱり肺すごいですね。でもちょっと損失多いですかね。あんまり傷つけちゃ駄目ですよ。肺大切ですからね。多分潜ったりするときに息を吐いて潜ってますね、全くもう。大切なのに何やってるんですか。まあとりあえず、約4、5分なら潜ってられると思いますよ。勿論息を吸って潜る場合ですがね。息を吐いて潜るのならば…まあ2分が限界かと」
「そう」

役に立てたのかな。よかった、よかった。



111113



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