怖かった、怖かった、恐ろしかった。あんな人がこんなところにいていいのかと思うくらいに恐ろしかった。ああいうのを異常、と言うのではないでしょうか――…。 今まで見た中で名前も、能力値のグラフも出てこない人はいなかった。あの人怖い。でも気になる。何だろう、なんでだろう。 「ねえ、なんなのあんた?」 「へ?普通の人ですよって喜界島さんでしたか驚かせないで下さいよ」 にこやかに振り返り、彼女と目を合わせる。 「あれ、怒ってますか?」 「怒ってないけど、なんで水着着てたのわかったの」 ああ、そんなことでしたかと私は笑みを浮かべた。 「わかりますよ、それくらい。肺の利用凄いでしょう?そしたら水泳しかないし、そして危険なことをしているのがわかる。多分ずっと潜ってたりしてるんじゃありませんか?でもそれくらいやるってことは何か目的があるか水泳が好きかの2つですよね?だからこそ水着を着てるのではないかと思って」 彼女はア然としていたが、私を変な目で見ていた。ああ、またやってしまったか、だから嫌われるんだよなあ…。 「何分くらいなら最長でいける?」 「へ?」 質問で返されたのは初めてだ。みんな気持ち悪いっていって避けてしまうのに。 「とりあえず喜界島さんをしっかり見ないとなんとも…」 「そう、なら今日プールにいるから来て」 意味深なことを言われ、私がぽかんと口を開けていたのは言うまでもないだろう。 111112 prev|next |