黒神めだか、完全無欠と恐れられている彼女は人を信じすぎている。過信しすぎているといっても過言ではないだろう。そうでなければ、怪しいものを自ら刺しはしないのだから。 私はその状況は見ていない、だが、黒神真黒や阿久根高貴が叫んでいた限りそのような状況だと推測は出来る。名瀬…、いや黒神くじらによってそうなったとしか私にはわからないのだ。私の異常(アブノーマル)も使い勝手が悪いということか。階段をこつこつと地道に歩いているとやはり、というべきか。 「宗像形、携帯電話をしっかり使用出来たようでよかったよ。赤青黄に頼んだからか怪我はないだろう。高千穂千草に関しても助かったと言っておこうか」 「さっきから思ったけど見境今日は珍しく饒舌だね。眼鏡がないからかい?」 「さあ、それは見境菜詩本人、まあ私だが。に聞かないとわからないとでも言おうか。私は別に自身饒舌だとは思っていない。必要最低限の言動をしたいだけだ」 「ケッ、見境おめーは喋りすぎじゃねーの」 「雲仙冥利、眼鏡の件は世話になりました。あ、雲仙冥加はじめまして見境菜詩といいます。以後よろしくお願いいたします。しかし雲仙冥加の数字言語申し訳ないながらまだ理解しきれてないので、そのことに関してはすみません。勉強不足です」 彼女、雲仙冥加の数字言語を簡単に理解した、と有名な黒神めだかはやはり普通ではないようだ、なんて過去のことながらふと思う。 「ちゅーか菜詩ちゃん、生徒会らと一緒じゃなくてええの?」 「ああ、鍋島猫美。それに関してはいいんです。私は喜界島もがなを助けるためだけに来ました。他は別に構わない、といいかたは失礼ですが…、まあ構わないのです。喜界島もがなは私見境菜詩の友人ですから。喜界島もがなが傷付くのを見たくないだけです。おそらく、みなさんは生徒会の方たちと一緒に合流するとは思うので、私のことは内密でお願いします。私は私でゆっくり階段を使って下りていきますので、では。生徒会のみなさんはおそらく廊下辺りで揉めてると思いますよ」 かつかつ、と階段を下りる。彼ら、雲仙冥利が率いる方たちは鍋島猫美によってエレベーターを使用するであろう。卑怯が生業の彼女だ。ならば私は卑怯をせずゆっくりと自分ペースで階段を下りていこうと思う。その間で、13人組の13人(サーティーンパーティー)に会ってしまったらまあ、どうにかなるだろう。異常(アブノーマル)には負ける気しかしませんし。 かつかつと階段を下りる。私が階段を下りる音しか響かない。ということは、周囲には人がいないということだ。カメラも動いていないということは、理事長はこの計画を諦めたのだろう。早いものだ。 「諦めが悪いこととはいわないが、諦めがはやいのはいかがなものかな、不知火袴理事長」 かつかつとまだ階段は続く。 120812 久方ぶりに。 書き方変わってなければいいのですが prev|next |