宗像形、という名前の先輩はおそろしく殺しのテクを持っているのにも関わらず、殺そうとしない心優しい方だった。 「優しい方ですね、この人」 「あひゃひゃ☆何言ってるのさ菜詩ちゃん」 あれ、私名前で呼ぶの了承したっけ。…まあ言うのも面倒だからいいとしますか。 「だってこの人――…人、殺したことないでしょう。ですよね、理事長」 理事長は苦笑いを浮かべ、画面へと視線を移す。見ろ、ということでしょうか。まあ見ますけれど。もがなちゃんがこのまま無事だといいのですが、ね。 淡々と武器を取り出し、人吉を攻め立てる宗像先輩。否定は出来ない。だって生徒会は幸せだったこの部屋を潰しに来ているようなものだから。 「うわ、あれよく入ってましたね」 「あー、狼牙棒?」 「そうです。重いでしょう、あれ」 狼牙棒を振り回し始めた宗像先輩。いや鈍いからってそれやったら死にますよ。それ。まあ、急所を狙ってないようですけどね。 「心配ですか、不知火さん」 「んー、そんな訳ないじゃん!」 そうは言っても、はらはらして見ている時点で心配してますよ、不知火さん。本当、素直じゃないんですから。人吉は、上着を脱いで狼牙棒を止め、宗像先輩を蹴り飛ばした。ああ、もったいない。決めておけばよかったものを。 121117 prev|next |