判断ヲ下ス(めだ箱) | ナノ

不知火半袖と理事長から了承を得て私は画面を見つめていた。

「異端児は関係性に飢えています――…」

理事長の言葉と不知火半袖の咀嚼音。そして私が呼吸する音。画面から漏れる音。その音は私の耳から耳へ流れてゆく。

「…――とにかく黒神さんにフラスコ計画を体験してもらう。憧れていた化物同士のレクリエーションがきっと彼女の人格を変えてくれます!」

ふわあと不知火半袖は食べる手をやめ欠伸を漏らした。前を見ると先程あった料理は跡形もなく消えていた。

「…―地下二階でお待ちのお友達は誰だっけ?」

理事長は画面を見つめ、さらりと最悪なことを吐き出した。

「彼は国際指名手配中の大量殺人犯なのですから」

階段を下りていく黒神めだか達は、ゆっくりと指名手配犯へ向かっていた。
画面からはよく見えないが、おそらく別の私のように色々隠し持っているようだった。しかし、あの重量を持って歩き回れるのはすごいことだろうに。

「見境さん、出来れば別人格の方とお話したいのですがよろしいでしょうか?」
「理事長、残念ながら彼女はあなた達を嫌悪しています。おそらく異常と知らされたのは理事長のせいと思っているので。不知火半袖はただただ苦手なだけですかね。そのスキルを隠して下されば大丈夫かと」
「隠すって簡単に言うね、むずかしってのにさあー」

すう、と不知火半袖からは嫌悪感が消え、念のため用意しておいた眼鏡をつけた。

「どーも!」
「あ、不知火さんどうも。あれ、私は何しに。ちょっと待って下さいね」

私は頭を整理し始めた。結局は同じ私だ。嫌悪しているとしても同じなのだから大丈夫だろう。

「わかりました。とりあえず私はこれを見に来たのですね」

そうやって私は画面を指差した。そこには人吉くんが宗像さんと対戦しているときだった。
刀を上に押し上げ、天井へと突き刺す。

「人吉くん、考えてますけど、あれじゃ傷つきますよね」
「あひゃひゃ、君は君なんだ!君も同じことを言ってたよ」
「私は私ですよ。不知火さん何をしても変化があるのは性格だけなんですから」



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