理事長室の机の上にはありったけの料理。おそらく不知火半袖が先程まで食べていたのであろう。口許が汚れている。 「あ、不知火半袖。こちらの人格だと初めてでしょうか、はじめまして、理事長、半袖。今どの辺りまでいきましたか?」 私が質問をすると不知火半袖が使っていた箸で画面を指していた。ボロボロの黒神めだかと高千穂仕種。ふむ。 そして入口辺りから入ってくる黒神まぐろ。 「だいじょーぶだよ、まだ愛しの喜界島さんには傷一つついてないからさあ」 「そうか。ならいい。でもこのままだと人吉善吉が傷つくがそれでもいいのか」 そう不知火半袖に返すと、ごくり、と食べ物を飲み込み、さみしげな顔をして笑っていた。つらいなら笑わなければいいものを。 「理事長、驚くなんてひどいです。あなたが13に入れたかった理由がこれですか。馬鹿馬鹿しいじゃないですか。天才を作った時点で天才じゃなくなるんです。そのこと理解しなくちゃいけないのでは。まああなたにいっても意味ないことは事実ですが。とやかく言っても意味ないですし、私はここで気が済むまで映像を見させてもらいます。生徒として当然かと。ですよね、不知火半袖」 「ほんっとに変わるんだねぇ!!まあいいんじゃないのおじーちゃん、見せてあげなよ!」 からからと渇いた笑みを見せる不知火半袖は、何故か私と似ているような気がした。 111211 prev|next |