判断ヲ下ス(めだ箱) | ナノ

私は昔から二重人格というものを持っていたらしい。眼鏡を外す外さないが何かの反動が起こるらしい。勿論、私の意思が加わると意味がないのですが。
さて、つまらないながら昔話をさせていただきましょうか。
私の生まれはどこも変哲もない民家で産声をあげました。私の家族はどちらかというと普通の方でした。異常で異質なのは私だけでした。でもそんな私を愛情を注いで生かしてくれました。それもある意味異常なのかもしれませんが。しかし、今私が所持している判断のスキルは後付けされたものに過ぎないのです。実際は、なにもかも普通に見えるスキルでした。今いる黒神めだかも喜界島もがなもその他13組の方々もただの普通にしか見えないのです。普通以下の場合も私は無視し、いやむしろ以下のほうと好き好んで付き合っていました。
何が変なのだろうか、何がおかしいのであろうか。
だって人間はなにもかも同じだからです。

その意見に賛同して下さった方がいました。彼女は、何を見てもただの下らないものだ、といっていました。私はそれに賛同しかねますが、ただの人、という部分には賛同しました。でもその方は顔面を剥がされ帰らぬ方になってしまいました。でもあの人ならおそらくひっそり息を潜めているでしょう。
さて、判断のスキルは愛情注ぎ育ててくれた両親の家系のほうで植え付けられました。両親は私が10歳くらいのときに亡くなり、両親の上の家系――…長者原家と言うのですが、そこで公平というルールを投げ掛けられました。ルールは人を区別するもの。そう思っていた私はルールというものを受け付けませんでした。しかしそれを許す訳がありません。私は、いやがおうにも従わなくてはならなかったのです。それが両親の望みだった、と聞いた瞬間に。
長者原家には私より数個上の方がいました。その人は何よりも公平を愛していました。私はそれが不思議でたまりませんでした。しかし、その方とは話さずに私は海外へ飛び立ちました。公平を学ぶ為に講習会やルール、そして審判の訓練を行い今にいたります。それで私という人格が出来たのです。
長者原家と見境家は対立関係だったと聞きました。私には興味がないのですが。しかし見境家には何も残っていませんでした。だからこそ、私は普通にしか見えない異常、と呼べるのかわからないスキルと、今所持している判断のスキルがあるのです。
でも何も私は悪いことをしていないのです。
ただ、みんなの心をへし折っているくらいしかないのです。
弱すぎるのが悪いのです。
それが普通ならば私は普通ではないのでしょうか。

私は普通で普通な人です。
人格は左右されますが。

「普通なのが悪いのです。つまらない」

だからこそ私は異常を尊敬し、気持ち悪いと思います。なにもかも。

昔話はこの辺りにしておきましょうか。
これ以上語ることはないですし。
とりあえずこの人格なら不知火さんは怖くないですし。仲良くお話でもしようかと思います。


111206



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