「あ、松本くんじゃないか」 「ああ、笹原か」
松本たかひろくんは私と同じクラスであり、私の友達の文学少女、通称やっさん(私はやっちゃんと呼んでいるが)とのクラスメートである。それ以上も以下もない。
「あ、松本くんの家ってこの辺りなの…?」 「ああ、まあ」
最近通った気がする道だな、と思ったら女の子の言い争う声がした。
「…またか…としゆきも大変だな…」 「ん?唐沢くんのこと?」 「何、笹原知ってるの」 「まあ、やっちゃんの気になる人がその高校でね、」 「ああ、だから追いかけっこ…」 「え、どういうこと、詳しく!」 「その男子生徒に聞いたほうが早いと思うよ」
そういって、たかひろくんは言い争う声のほうを見て、俺のほうに被害が来なきゃいいけど…、と呟いていた。
「被害ってどんな?」 「彼女いないならこいつと付き合ってやって、とかかな」 「え、彼女いないの」 「突っ込む場所そこなんだ」 「ごめん、間違えた」
むしろ私、松本くんかっこいいから不思議だよ。あれか高嶺の花―…ってことか。うん。
「松本くんは高嶺の花なんだね!」 「いや多分それ笹原のことだろ」 「残念だったな、私は中身も残念だ!」 「どうだ、みたいな顔されても」 「ごめん」
私と友達とたかひろくん
(でさ、笹原) (何?) (なんで俺だけ名字呼びなの) (わかんないけど、松本くんは松本くんでしょ)
120225
あ、たかひろくん好きですよ
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