私は先日お世話になったサオリンことさおちゃんに礼を言わねばならぬ、と思いさおちゃんのクラスへと向かった。 ちなみに私とさおちゃんは現在クラスが違うが去年は一緒だったので、仲がいいのだ。まあこの偽名はさおちゃんが考えてくれたんだが。
「ねえ、聞いていい?」
1年のとき。 私は初めての環境に馴染めるのかがとても難しいということを痛いほどわかった時期。そのときに、私の前の席にいた女の子がそう言ってきたのだった。その女の子がさおちゃんということなんだけれど。
「なん、ですか?」
上手く馴染めなかった私は、何事かと体を強張らせ、俯いて彼女に返答。
「あんたの名前って何?」 「は?」
驚いてしまって、顔を彼女のほうへ向けると、してやったりというような顔。なんだ、なんだ。
「だから、名前。ちなみに私はさおり。あだ名はさおちゃん。偽名はサオリン」 「え、あ、名前はサキ。あだ名も偽名もありません」
そう言ったら彼女は、面白そうにくくく、と笑いを堪え笑っていた。
「なんですか!」 「いやあ、あだ名も偽名もないなんてはっきり答えられるとは思ってなかった…!」
失礼な人だ、それがさおちゃんの第一印象。でも、それ以来さおちゃんは私に絡んでくる。私はそれが不思議で仕方なかった。 ちなみにそれを思い出したので先日聞いたら、友達になりたかったと照れながら答えてくれたさおちゃんがいた。
「あ、さおちゃん!」 「おお、サキ元気になったな」 「さおちゃんよくわかるね」 「サキの友達だからな」
にい、と笑いながら言う彼女が本当に私の友達でよかったと本気でそう思う私だった。
「あ、そだ。昼休み一緒にご飯食べよ?」 「あいつも一緒、にな」
おおい、と図書館へ向かう彼女を見つけたさおちゃんは彼女に昼休み一緒にご飯の話を切り出したらしく、彼女はいいよ、と肯定の返事をしてくれたので、私は昼休みどこでお昼を食べようか悩むのであった。
120221 さおちゃんと夢主と文学少女の話。 一回書きたかったので!
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