食堂に響いた笑い声、それは目立つオレンジ色から発せられていた。
彼はよく笑う子だ。それは一番最初に抱いた印象。誰といても、何処にいても、彼は太陽の様に笑っていて、彼の周りはいつも賑やかに輝いている。
あの忍足クンまでもが一緒に笑うのだから凄い。俺といる時は愛想上等な笑い方しかしないのに。

「なんや、羨ましいなぁ…。」
「?どうしたの、白石。」

俺がぼやく様に呟くと、隣りに座っていた不二クンが不思議そうに俺の顔を覗いた。
不二クンとは結構話が合うのでよく一緒にこうやってご飯を食べていて、今日も何だかんだ一緒に食堂に来て、隣りに座った。

「不二クン。忍足クンってどないな人?」

「忍足?…なんで突然。」

「何となく。なんや俺嫌われとるみたいであんまはなしせぇへんから、どないして嫌われてもうたんかなぁって…」

俺がそう言うと不二クンは忍足クン達が座っている席を眺めてうーん、と声を出しながら少し首をかしげる。
相変わらず千石クンが笑っていて、俺もそちらに視線を向けて考えてみた。そしたら不意に忍足クンがこっちを見て、目が合ったと思ったら微笑まれて、いつもと違うその笑みに心臓が変な音を立てる。
すぐに視線が逸らされたにも関わらず俺は未だに目を離せなくて、脈拍だけがおかしな程に早かった。

(なんやろか、俺、変や)

「多分、忍足は白石みたいなタイプが苦手なんじゃないかな。」

「俺みたいなタイプ?」

「うん。多分…だけどね。」


朝食の時間はもうすぐ終わる。








「ほな、よろしく。」

千石クンに声を掛けたのは好奇心からだった。
何だかんだで話をした事がなかったし、千石クンはよく忍足クンと居るから、もしかしたら彼にはなにか有るのかもしれない。そう思ったんだ。

何をそんなに拘っているのかと聞かれても分からないけれど、とにかく今は出来る限り忍足クンに近付きたい。それだけを目的に頑張っている。

理由も分からずに避けられるのはやっぱり切ないし、それに、友達になってみたいから。
そしたらこの変な気持ちの答えも分かるかもしれないから、だから取り敢えず今は彼に近い人に近付いてみようと思ったわけだ。


その後、ペアを組んだ千石クンは終始喋っていた。それはもう止まる事を知らない勢いで喋っていて、この感じが良いのだろうか、と俺も終始勉強になりますとばかりに頷いて返した。





苦手な相手:リターンズ

(気になる相手!)




END


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