少年……臣(おみ)

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綺麗なウェディングドレスと真っさらな白いタキシードを着た二人は、誓いのキスをかわした。

招待された親戚、友人達は良かったなぁ……と時折涙を流しながら朗らかな表情で拍手を送っている。

……その中に、俯いてぎり…と拳を握りしめる少年が一人。

そんなこととはつゆ知らず、式は坦々と進んでいく。



「では続きまして――…て、あの……僕?」


気付けば夫婦の目の前に先の少年。

止めようと司会が行こうとするが、新婦がそれを止めた。


「どうしたの?臣くん。」

彼は臣というらしい。後ろ手には花束を持っている。

(…誰?)
(隣の家の子。)

「……っねぇちゃん、結婚おめでとう。」


「へ…。……ありがとう。」

最初は戸惑った新婦だが、ふわりと笑い礼を言った。すると、途端に少年はくしゃりと泣きそうな顔になった。


「…え、おみく「おい!!お前!!」

「へ、俺?」


呼ばれたのは新郎。


「そーだよ!…ねぇちゃん泣かせたり悲しませたら、おれがぶっとばすかんな!!ばーか!!」


ぼろぼろと涙をこぼしてひゅん!と何か投げてきた。
ばしんと顔面直撃。


「いっ…た…って、花、束?」

ばっと顔をあげると少年はもういなかった。かわりにドアが開いていて。

「「………」」

二人で顔を見合わせふ、と吹き出す。

「ははっいーこと言ってんのに泣いてどーすんだよ、ばーかっ」

ひひっと笑う新郎。

「……ほんとにね。」

くす、と笑う新婦。
(ごめんね、
君の気持ちには
ずっと気付いてた。)
(ごめんな、
…お前の方が
ずーっと男らしいよ。)

幼心の片思い



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