とある部活が休みの土曜日。浜野と速水は二人でいつものように釣りに行きやがった。


「さむ……」


冬に完全装備してたって寒いもんは寒い。いっそ白恋のやつと寒さの耐性交換してほしいくらいだ。


と、ふと見つけたカフェ。

「…入るか。」


ぶるるとふるえながらも冷たいドアノブに触れてドアを開ける。


からんからん……


「いらっしゃいませー」

老舗なのかレトロな雰囲気を醸し出している。が、聞こえた声は若かった。


さて何を頼もうかとちらりと顔をあげる。

「えーと、キャラメル……いや、んー……モカください。」

「畏まりました。440円でございます。」

ピッピ、とレジを打つ音が聞こえる。

まぁそれなりにするよな、と中学生には少々お高めな金額を手渡す。

「10円のお返しです。横のカウンターでお渡ししますので、少々お待ちください。」


こくんと一つ頷いてカウンターの前に立つ。



少ししてふわりと珈琲の香りがしてきたので顔をあげると目の前には店員。

少々びくりとしながらも顔を見た。

「…え、」

「お待たせいたしまし…………た…………………」

「「南沢さん!!?(倉間!!?)」」


そう、目の前にいた店員は最近なぜか忙しいんだ、と全く会っていなかった南沢さんだった。











「…なんでいるんすか」

それからギャルソン服から私服に着替えて来た南沢さん。

「…俺さ、バリスタになるのが夢なんだよ。だから叔父さんのとこで手伝わせてもらってるんだ。」

「………へぇ、」


たいして興味もなさそうな声で返事をし、それならばと一つ提案をしてみる。


「……じゃあ、俺に…俺だけに珈琲、入れてくださいよ」


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