さん






「あ、志月先輩!」

「…?」

よし、と行こうとしたものの、係の少年に止められた。

「あ、えと。女装した方はこちらの部屋でメイクをする決まりでして…」


「…えー……(めんどくさい…)」

「ほら、めんどくさがらないの。行っといで。」

にこりと委員長に微笑まれ、渋々部屋にはいる。




「…じゃあ、目をつぶって……………………はい、じゃあ少し上見て…………………はい!これでオッケーです!」

「…ん」

………わぁーお…誰だこれ………あ、いーこと思いついたぁ

にやりん、と笑い控え室を後にする。





会場には、メイクされた女装男子、色んな格好の生徒が溢れていた。白雪姫の格好も、色違いで何人かいる。
メイクはフツメンのほうが化粧ばえするらしいから、きっと全然騒がれないはず…
にやけそうになるのを我慢しつつ、委員長の元へ行った。


「…あの、よかったら…一緒にいても…いいです、か?」

「ん?………あぁ、いいよ。」

ふっと微笑む委員長。

…やった!!これは、ばれてない…!?とか喜んでたらヒールの靴だったからか、かくっとバランスを崩してしまった。

「…!?(わ、やば)」

「ちょっ……!……せーふ…。…気をつけてね、暦。」

僕を抱き抱えて助けた委員長は、僕の名前をよぶ。

「…っ!…気付いて…」

「当たり前でしょ…暦のことならなんだってわかるよ。」

にこりとまた微笑みぽん、と頭を叩かれた。


抱き抱えられて名前を呼ばれたとき、胸が苦しかった。
……なんだったんだろ。



はっ!!!!まさか………心臓に異常が……!!?

「…なんか変な事考えてない?」

「…べっ別に…」




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