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「ありがと」

 小さな声で言ってみる。周りの話し声で聞こえないかとも思ったけど、間宮はちゃんと拾ってくれたらしい。一瞬驚いたように目を瞠って、それから満足げに口の端を吊り上げた。そして、特に何かを言うこともなく踵を返して、他の皆の元へ向かっていった。

 その場に残されたのはわたしと、手のひらの上の四葉だけ。萎れかけだけど、温もりだけはしっかりと残っているそれを指で摘んで、わたしは両目を細めた。

 思いがけない、プレゼント。

 早速、押し葉にでもしてみましょうか。


  【終】




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