カレの友達 3 しおりを挟むしおりから読む目次へ 「曽根とずっと一緒に、笑いあってたい、から」 たどたどしく答えるわたしに、マミーは更に問いかける。 「そのキモチはもう変わっちまった?」 「変わらない、よ」 変わらない。変わるわけがない。 たとえ今曽根に拒絶されたとしても、それでもきっと変わらない。 「じゃあ、いいじゃん」 穏やかなマミーの声。 それくらい揺るぎないモノがあるなら、怖がることはないと。そう背中を押してくれる。 だけど、だけどねマミー。わたしの中にはもうひとつ、揺るぎないモノがあるんだよ。 「それは仕方ないよ」 わたしの訴えを聞いて、彼は困ったように笑った。そして一度姿勢を正して、わたしの目を見ながら言う。 「瀬戸は結構ケッペキなのな」 その意味を計りかねて、わたしは眉を寄せた。彼は言葉を選びながら、ゆっくりと説明してくれる。 「まっさらな心の中にタカ一人だけが居て、タカだけが特別じゃないとダメだって思ってない? そうじゃないと、タカを好きだって言っちゃいけないって思ってない?」 「……思ってる」 そうでありたいと、わたしは思ってる。でないと曽根に申し訳ない。 今でも有ちゃんが大切で、だけど曽根が好きなんて。そんないい加減なハナシ、軽蔑されてしまう。わたしは別に、彼と有ちゃんを比べてるわけじゃない。彼を有ちゃんの代わりにしたいわけじゃない。 「けどさ」 今度は器用に椅子の上であぐらをかきながら、マミーは言った。 「幼なじみサンのことは簡単に忘れちゃえるほど、軽いキモチじゃなかったんだろ?」 わたしは黙って頷いた。 物心ついたときには、傍にいたヒト。いつも一緒だった。あの冬の日まで、わたしはそれまでの人生のほとんどを彼と共有してきたんだ。――笑顔も、涙も。 そんな簡単に忘れられるわけないじゃないか。 |