連鎖する僕ら 7 しおりを挟むしおりから読む目次へ 「俺はそうしたおかげで今、結構幸せだけど?」 その言葉に、わたしはぎゅっと唇を噛んだ。結局何も言わず、ストンと椅子に腰掛ける。 そして、自分でも何だか分からないけど――ちくしょう、と思った。 「やっぱ、あんたイヤな性格してるわ」 あっという間にヒトの気持ちを暴いて、自覚させて、追い込んで。そのうえ、ホントに幸せそうにあんなこと言われたら。 ――ちょっと羨ましいとか、思っちゃったじゃないか。 これ以上ないってくらい、顔をしかめて曽根を見る。だけど、ヤツは堪えない。静かに不敵に笑うだけ。それを正面から見返して、わたしは自分に問いかける。 開き直ってしまおうか。今更だけど、ガラじゃないけど、一度気づいてしまった『答え』は多分もう、取り消せない。それはまだ小さな欠片みたいなものだけど、確かに存在していて、わたしの中をかき乱すのだから。 たった一人の人間のことで、頭がいっぱいになってしまうほどに。 曽根は何も言わない。浮かべてた笑みも引っ込めて、また退屈そうにアルバムに手を伸ばす。静かにページをめくる姿をぼんやりと眺めながら、わたしはもう一度自分の中で繰り返した。 開き直ってしまおうか。 あのバカと一緒にいたいと思うことを。 ずっと面倒で、避けてきた道に踏み込むことを。 それはそれで、きっと厄介なことも沢山あるんだろうけど。 けど、そう悪いことばかりではないのかもしれない。そう思って、わたしはこっそり苦笑した。 【続】 |