連鎖する僕ら 7
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 でも、わたしに限っては当てはまらないような気がした。だって今ですら、わたしはダメダメだ。間宮に想いを告げられてから、自分でも信じられないくらい情けない状態に陥ってしまったのだ。なのに、これ以上踏み込んでしまったら。

 ――わたしは、どこまで弱くなってしまうんだろう?

「――余裕なんてねぇよ」

 一旦沈みかけた思考を、曽根の呟きが掬い上げた。低い、でもいつもより力ない声音に、わたしは目を瞠って曽根を見る。曽根はわたしのほうを見ていない。つまらなそうに頬杖をついて、横顔だけをこちらに向けていた。

「お前が俺に言ったこと、そのまま返しただけだ。これ以上は何も言わねえ。哲が振られようが、お前がばっくれようが知ったこっちゃねえし。言われた通り、俺は自分のことでいっぱいいっぱいだからな」

 まさしく俺様な、曽根らしい言い様だ。そう思って、わたしは思わず笑ってしまう。

「いっぱいいっぱい、なんだ?」

「わりぃかよ?」

「悪くはないでしょ。それ、初璃が聞いたら喜ぶんじゃないの?」

 もう既に納得したこととはいえ、彼氏と離れるのが寂しくないはずがない。でも、普段から強気で俺様なこの男が、自分から『いっぱいいっぱい』だと認めたんだ。そうなるくらい初璃と離れることを、惜しんでいるのだと。

 お互いに進む道が違う――その現実は変わらないけれど、あのコの不安を軽くする材料にはなるんじゃないだろうか。

 久しぶりに冷やかすように笑って言ってみた。だけど直後、わたしはカウンターをくらう羽目になる。

「そっくり、そのまま返してやるよ」

 意味が分からず瞬くわたしに、曽根はさらりと告げた。

「ここ最近、哲のことばっか考えて、それだけでいっぱいいっぱいになってるんだろ? そう言ってやればいいじゃんか」

「っ! 言えるかー――っ!」

 立ち上がり、久々に大絶叫。両手を机に叩きつけて、わたしは曽根を盛大に怒鳴りつける。

「あんた何勝手なこと言ってくれちゃってんのよっ!?」

「事実だろ?」

「それは――っ!」

 事実じゃない、とは言い切れない。現実に『いっぱいいっぱい』なわたしが、ここにいる。

 曽根の言葉がまた、わたしを追い込む。逃げ場なんてないことを突きつけるみたいにして。

「開き直っちまえばラクになんじゃねーの? 二人とも」

「そんな簡単に……」

 出来るなら苦労はないと、わたしは反論しかける。だけどその前に、曽根がいつになく柔らかな口調で言った。


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