連鎖する僕ら 7
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 曽根が意地悪く、嗤った。

「大体お前がどうでもいい相手のこと、そこまで時間かけて考えるような人間かよ」

「…………」

 まったくもって、その通りなので反論できない。確かにそうなのだ。いくら相手が気の合う仲間だからって、いくら焦らなくてもいいと言われたって、どうでもいい――考える余地がない人間相手なら、もっと早くにどうにかしていた。待たせたりしなかった。

 つまり、間宮に言われた通りに考えてしまった時点で、わたしの『答え』は八割方決まってしまったようなもんなのだ。でも、わたしはそれを素直に受け入れられない。踏み込んでいけない。


 ――だって、そんなのガラじゃないもの。


「……あんた、ムカつくわ」

 低く呟いて、曽根を睨みつけた。けど、ヤツは表情ひとつ変えずに肩を竦めてみせる。

「そりゃ、どーも」

「褒めてないっての!」

「別に褒められてるとは思ってねぇし」

「ホントに性格悪いわよね、あんた!」

「お互い様だろ?」

 ニヤリと嗤って訊ねられ、言葉に詰まる。えぇ、確かにわたしもヒトのこと言えるような、可愛げのある性格はしてないけども!

 ぎりぎりと奥歯を噛み締めて――それから、わたしはげんなりとため息をついた。何か、ここ最近でいちばん疲れたような気がする。前髪を掻き上げて、再び椅子に背を預けて思う。もういっそのこと、帰っちゃおうかな。このままここにいたら、更に墓穴を掘って追い込まれるだけのような気がする。そう思いつつ、わたしは曽根を半眼で見やった。

「……余裕あるじゃない」

 ほとんど負け惜しみのような口調で呟いた。首を傾げる曽根をよそに、わたしはそのまま話を続ける。

「自分だって初璃とのこと、これから大変でしょうに。他人の心配してるなんてさ」

 そもそも曽根だって、わたしと同じように、わりと他人事には無関心な人種だったはずなのだ。朝も昼も夜も野球のことだけ考えて、そうしていられるのが幸せっていう――初璃と会うまでは、そんなヤツだったのに。

 初璃に会って、あのコと付き合い出して、曽根はすごく変わったと思う。それも、多分いい方向に。こんなふうに誰かを好きになって、それで自分が強くなれるなら――いい方向に変われるなら、恋愛するのも悪くないのかもしれない。そう思ったことは、あるけど。


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