連鎖する僕ら 7
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 ふと思いついたことに、何となく気持ちが沈む。どうせだから、あいつにも書いてもらおうかと思ってたんだけど。一応、一緒に頑張ってきた部活仲間なわけだし。――でも、考えてみたら四月からも同じ学校なんだ。だったら別にいいのかな。初璃と曽根みたく、わたしと間宮は会えなくなるわけじゃないんだから。別にどうしても、今、書いてもらわなきゃならないもんでもないのかもしれない。だけどどうにも落ち着かない気分で、わたしはそっと周囲に視線を巡らせた。

(――やっぱり、いない)

 教室のどこにも間宮の姿を見つけることはできなかった。何となく落胆したような、ほっとしたような――複雑な心境だ。間宮に「好きだ」と言われてから、わたしはそんな気分に陥ることが多くなった。あいつに会わなくても落ち着かないし、会っても落ち着かない。掴みどころのない感情に胸の辺りが痛んで、眉を寄せることが増えてしまった。

 今も、それを見咎められたんだろう。曽根が訝しげな声をあげる。

「どうした?」

「……別に」

 小さくかぶりを振って、わたしは視線をアルバムに戻した。そして無言でペンを走らせる。――が、すぐにその手を止めることになる。曽根が余計なことを言ったからだ。

「哲なら、成瀬たちのところだぞ」

「――あ、そう」

 気にしてることを、気づかれてる。わたしは思わず顔をしかめた。おそるおそる目線を上げてみれば、何やら興味深そうな表情をした曽根と目が合う。するとヤツは器用に片眉を上げて、口を開いた。

「こっえーカオ」

「……うっさい」

 一言返して、わたしは顔を背ける。曽根が嗤う気配がした。

「随分、手こずってるみたいじゃん」

 受験のが簡単だったんじゃね? と嘯くように言うヤツは、わたしと間宮の間にあった出来事を正確に把握しているようだ。なので、やりにくいったらありゃしない。

「……そーかもねっ!」

 軽口にやけくそ気味に応じると、曽根はますます笑みを深めた。ああ何かムカつくわ。

 不機嫌な表情はそのままに、わたしはとりあえず手元の文章を書くことに集中した。『試合に出るときは教えなさいよ。下手なリードしてたら指差して笑ってやるから』――うん、これでよし!



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