カノジョの友達 5 しおりを挟むしおりから読む目次へ 「あのバカ、わたしが話しかけようとしただけで凄い勢いで走ってくんだから……!」 ああ、それもあってイラついてたわけか。 しかしそれでも。 「見捨てないで面倒みるあたり、お前エラいよな」 俺は心底感心する。ありきたりな言葉でいうなら、友達思いなヤツだと思う。しかし、藤原はこちらに舌をべえっと出すと、清々しいほどきっぱりと言い切った。 「わたしの精神衛生上の問題よ。アンタ達見てると、ほんっとイライラするんだから」 「可愛げねーな。せっかくホメてんのに」 「その可愛げとやらは、あのコに求めてくださーい」 そしてその話題はおしまいとばかりに、彼女はぱちんと手を打ち鳴らした。俺は目を瞬かせる。 藤原は浮かべた笑みを更に深いものにした。俗にいう、何か企んでいる表情。 俺はこれから彼女が提案するであろう――たぶん、絶対、瀬戸が標的になるんだろう話の内容を思い、こっそりと肩を落とした。 瀬戸、もう逃げらんないぞ。俺も、お前も。 【続】 |