連鎖する僕ら 3
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「何か……鼻声?」

「あー、うん」

 いつもと違う声を指摘すると、間宮は気まずそうに視線を泳がせた。そして、ぽつりと呟く。

「昨日、ちょっと調子に乗りすぎちゃったかなーとか」

「何、やったの?」

 確か昨日の放課後、間宮は成瀬に勉強を見てもらっていたはずだ。それで一体、何の調子に乗ったというんだろう。わたしが首を傾げると、間宮は「あはは」と苦笑い。

「部活に顔出して、ちょっと……」

「――バカじゃないの?」

 皆まで言われなくても、何となく分かった。気晴らしに部に顔を出して、つい本気モードになって練習に参加したってことだろう。それで暑くなって薄着になって――そのままでいたら、風邪をひいたっていう話。

 何となく頭痛を覚えて、わたしは額に手を当てた。

「あんた、この時期に何やってんのよ……」

「や、だって俺だけじゃなかったし! 言い出しっぺはタカだし! 成瀬も一緒だったし!」

 怒られるとでも思ったか、慌てて言い訳する間宮。そして実にタイミングよく、くしゃみをしたりする。

(……やれやれ)

 わたしはため息を隠すこともせず、それから軽くかぶりを振った。別に怒りゃしないっての。呆れはするけどね。

 とはいえ、間宮たちのこの馬鹿さ加減は嫌いじゃない。ちょっと羨ましいくらいだ。何だかんだ、結局は三人ともが『野球バカ』なんだってこと。誰が言い出しっぺだって、止めた人間はいないだろう。むしろ彼ららしいと思う辺り、わたしもきっと同類だ。その点では説教じみたことは言えない。

「もうあんた達三人、『野球バカ』改め、まとめて『ただのバカ』よ」

「バカバカ言うなよー」

 ニヤリと嗤って言ってやると、間宮が呻く。でも、表情は明るい。大事な時期だって自覚ないのかしらね、コイツは。そう考えて、すぐにそれを全面肯定した。うん、ないに決まってる。それくらい神経質なら、夏大前だってあんな無茶はしないはずだ。

 一人納得して頷いていると、隣から笑い声がした。何事かと思って見てみれば、やたらニコニコしている間宮の顔が目に入る。

(やば……っ)

 何がヤバいのかなんて分からない。だけど、わたしは慌てて顔を背けた。すると、間宮が怪訝そうに問うてくる。

「あれ、また機嫌悪くなった?」

「……別に、悪くなってないってば」


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