まいりました! しおりを挟むしおりから読む目次へ 「……載せましょうか」 「っ!!」 そう言って、箱に手をかけたのは曽根くん――わたしの彼氏さんでした。 曽根は軽々と箱をカートに載せて、トイレットペーパーも落ちないように載せてあげて、また元の位置に戻ってくる。 『ありがとうございますっ!』 「イエ」 二人分のお礼の言葉に照れもせず、彼はしれっとしたカオで軽くかぶりを振った。 (うわーうわーうわーうわーっ!) わたしは心の中で大絶叫。だってこんなスマートに、他人に親切にできるなんて……! (スゴイ、曽根っ! 優しい!) 浮かんでくる笑みを抑えきれず、わたしは片手で口元を覆った。 それだけでも尊敬しちゃう出来事だったっていうのに、曽根がやったのはそれだけじゃなかった。 お母さんの買った品物はすべて『マイバスケット』に移されて、それもカートに載せられる。 そこで曽根は再びお母さんに声をかけた。 「車っスか?」 「え、えぇ」 「荷物載っけんの、手伝いますよ」 「い、いいんですか?」 「いいっスよ」 そんなやり取りを交わしたあと、曽根はわたしを振り向いた。 「ワリ、瀬戸」 「っ! は、はいっ!」 「俺の分、一緒に買っといて」 「わ、わかった」 ちょっとすまなそうにこっちを見下ろしてくる彼に、わたしは大きく頷く。 「入口んトコで待っててな」 曽根はそう言い置いて、お母さんを促すとカートを押して店の外へ。 わたしはその背を満面の笑みで見送った。 胸の中がホコホコと、あったかくなるのを感じながら――。 * * * |