投げ込まれた石ころ 2
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 ココにいる人たちは、みんな野球が好きで真剣にやっている人たちだ。わたしはずっと昔からそういう人を見ていたから、それがよくわかる。

 ――有ちゃんが、そうだったから。

 練習なら遠くからだけど、よく見てた。実は美術部員のわたし。美術室からココがよく見えるをいいことに、周囲の目を気にせず曽根の観察に勤しんでいたこともある。

 曽根は野球に対して、とても真剣だ。

 だから正直、『部活に集中したい』という理由で断られるんじゃないかとも思ってたんだ。そしたら意外にも色々と考えていてくれたようで。それがホントに嬉しかったから、わたしは曽根の決心がつくまで待つことを決めた。そりゃいつまでもっていうわけにはいかないけど。

 でもこれ以上、曽根の邪魔になりたくはない。今だってきっと多少なりとも負担になってるに違いないんだから。

 野球部の中心が曽根やマミーになってから、はじめての試合。それがあることを冴香から聞いて、わたしは野球をしてる曽根をもっと近くで見たくなった。もともと野球は好きなほうだし(これは有ちゃんの影響だ)、応援したいという気持ちがいつもあったし。でも真剣にやっているところに、わたしなんかがいたら気が散らないかしらとか思ってしまって。ダメで元々と思って曽根に訊いてみたら、あっさり返ってきたのは「いいよ」という答えだった。

「あんたはいちいち考え過ぎなのよ」

 ごっくんと音が聞こえそうな勢いで口の中のものを飲み込むと、妙に疲れた口調で言う冴香。

「それも見当違いの方向に」

「……返す言葉もございません」

 それで先日、曽根に怒られてる身としては黙り込むしかない。何か最近こんなんばっかだなあ。

 物悲しい気分でため息をついて、おにぎりに手をつける。そんなわたしを横目で見てから、冴香は部員たちのほうへ目をやった。つられてわたしも目を向ける。

 そこにはこちらに走ってくる、曽根とマミーの姿。彼らは何やら言い合いながら近づいてくると、わたしに声をかけてきた。



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