さくら、ひらひら 5 しおりを挟むしおりから読む目次へ フランクフルトにフライドポテト。焼きそば、焼き鳥、お好み焼き。 両手いっぱいビニール袋を下げてわたし達が向かったのは、美希ちゃんと一緒にきたことのある川沿いのベンチだった。 舞い散る花弁の量はこないだより増えていて、この辺じゃ滅多に降らない雪を思わせた。 これで今年の桜もおしまいかな、なんて思いながら川へと目を移す。日が暮れかけているこの時間帯でも、親に連れられた子どもたちが水に触れて遊んでいる。 (懐かしい、なあ……) わたしも昔はああやって、あそこで有ちゃんと遊んだっけ。曽根もそんなことしたのかな。マミーと一緒だったなら、無理矢理巻き込まれてそうな気もするけど。 想像したら、可笑しくなった。笑いだしそうになるのを堪えて、手元のお茶を一口飲む。 隣に座る曽根は、無言でお好み焼きを頬張っていた。よっぽど、お腹が空いてたらしい。いつもより子どもじみた表情と仕草に、胸の辺りが熱を持った。 (可愛いなんて、絶対言えないけどね) 内心でこっそり舌を出しつつ、わたしもポテトを口に放り込んだ。 そうやって暫くした後――買ったすべての食べ物をたいらげて、わたしは両手を合わせた。 「ごちそうさまでした」 「……食ったな」 「うん。もうお腹いっぱいだー」 そう言って何気なく自分のお腹に手を当てると、物凄く微妙な表情をした彼と目が合う。 「どうしたの?」 「お前、絶対学校の弁当足りてねぇだろ?」 「何で?」 「こんだけ食えて、アレで足りてるとは思えねンだけど」 疑わしげに訊ねてくる曽根に、わたしは焦って口を開いた。 「学校のお弁当は別に、お腹いっぱいになるほどの量じゃないけど……でも、足りてないわけじゃないし! それに、こういうトコに来ると不思議と食べられちゃったりとか……ない?」 「まあ、分からないでもないけど……」 それでも完全には納得しかねる様子で言う曽根に、わたしは言葉に詰まってしまった。 もしかして、引かれてる? 食べ過ぎだったかな? もっと控えるべきだったろうか。 むくむくと不安が沸き起こってきて、わたしはおそるおそる問いかける。 「呆れてる……? こんなに食べたらおかしかった?」 「いや、ンなことねーよ」 わたしの心配をよそに、あっさりと曽根は言う。 「残したりするより、ずっといいじゃん。一緒にいっぱい食ってくれんの、嬉しいし」 そして彼は苦笑気味に、両目を細めた。 |