さくら、ひらひら 2 しおりを挟むしおりから読む目次へ 少し離れた所に固まってた見学者の群れは、すっかり静まりかえっている。逆に他の二・三年の部員たちは、こちらを気にすることなく雑談に興じていた。 (慣れって、大事だよなー) しみじみと思ってしまう。ゆっくりと立ち上がって目をやると、俺より早く立ち直った哲が何やら藤原に絡んでいた。それを苦笑いしながら、成瀬が見守っている。 今日も変わらない、いつもの光景。 そこに足りないのは――。 (重症だな、これは) 思いついて、頭を掻く。相当、気恥ずかしい。 (とりあえず――) 今日は練習終わったら、ソッコーで電話だな。 人知れず心に決めて、俺は空を仰いだ。 【続】 |