思うより、ずっと 5
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「それで、んなコト考えたのかよ……おそろしくネガティブな思考回路だな」

 瀬戸は俺の言葉にただうなだれるばかり。少しばかり可哀想にも思えるが、だからってこれはひどいだろ。思い込みだけで自己完結してんじゃねーよ。

 俺はあさってのほうを見ながら、再び瀬戸に向けて訊ねた。

「で、お前はどうしたいんだ?」

 この期に及んで、またワケのわからないことを言いだしやしないかとハラハラする。何とも言えない複雑な気分で、俺は瀬戸を見つめた。だってコイツの返答次第では、俺も正直な気持ちを話さなければならない。たとえ、それで瀬戸が泣くことになったとしても。

 しばらく迷っていたようだったが、やがて瀬戸は決意の色を滲ませて俺に向き合った。

「教えて、ください。曽根がわたしのこと、どう思ってるのか」

 やっとセオリー通りの展開になったことに妙に安心しつつ、俺は瀬戸に答えるためにゆっくりと口を開く。

 コイツを泣かせたくないのなら、一言だって間違えちゃいけない。

 けど、俺の言葉が瀬戸みたく真っ直ぐに届くのか。それだけが不安だった。

「……迷惑なんかじゃなかったよ」

 俺の声に瀬戸がぱっと目を見開く。

「困ってたっていうのは、ああいう状況だったし。まさかお前にそんなふうに思われてるなんて、考えたことなかったからさ」

 俺はとにかく単純な、ストレートな言葉を選んだ。変に焦らないように、それだけを気をつけて言葉を紡ぐ。

「気持ちは嬉しいんだ」

 そうだ。瀬戸の気持ちは嬉しかったんだ。そりゃあんまり真っ直ぐ過ぎて、真っ向から受けるには照れ臭いもんだったけど。

 ああ、そうか。

 俺の中にストンと、答えが落ちてきた。

「俺、お前が自分で思ってるより、お前のことが大事なんだ」

「うぇぇっ?」

 唐突な俺の言葉に、瀬戸が奇妙な声を出して狼狽える。瞬間的に赤くなった。両手をばたばたと忙しなく動かし、視線がうろうろと彷徨っている。だけど、俺は構わず続けた。



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