デートに行こう! 3
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 そして指折り数えてみせる。

「ホントは邪魔扱いされてもおかしくないくらい練習見てても、イヤな顔しないし。わたしが風邪ひいてたら上着貸してくれるし。部活で疲れてても、一緒に歩いて帰ってくれるし。部活が休みになればデートに誘ってくれるし」

 他にもいっぱいあるよ?

 ニコニコしながら言われて、俺は思わず顔を背けた。

(ヤッベエ……)

 片手で顔を押さえる。

 顔が熱い。

「曽根?」

「バカ見んなっ」

 不思議そうに覗き込んできた瀬戸を、俺は慌てて押し留めた。だってめちゃくちゃカッコわりぃじゃねえか。

「そんなん、別にフツーのことだろっ」

 照れ臭くて、ついぶっきらぼうな言い方になってしまったが、瀬戸は気にした様子もなく口を開く。

「わたしにとっては、大切なことだよ」

 そして俺を真っ直ぐ見つめた。

「忙しくても他に夢中なことがあっても、曽根がわたしのコト気にかけてくれてるの分かるもん。なのにワケ分かんない理由でわがまま言ったら、ダメだと思って……でも」

 瀬戸はそこまで言うと、眉をぎゅっと寄せて困ったように笑う。

「身体しんどくて……すごく楽しみにしてたのに、自分のせいでダメになっちゃうんだと思ったら、気持ちがグチャグチャになって。八つ当たりみたいに、あんなコト言っちゃって。曽根が困るの分かってたのに」

 だから、ごめんなさい。

 瀬戸はそう言って、また頭を下げた。

「だから、謝んなって」

 瀬戸の考えてたことは分かった。取り残される寂しさっていうのはイマイチ理解できなかったけど、これは俺が彼女を置いていってる立場だからだろう。もちろん、ンなつもり微塵もねーけど。

 全部聞いてみて、俺は思ったままを口に出す。

「これっぽっちも迷惑じゃないんだけど」

「嘘だっ! あのとき、困ってたじゃない!」

 ごく淡々と述べた言葉に、瀬戸は勢いよく首を左右に振った。俺は思わず顔をしかめる。

「そりゃ目の前で泣かれたら動揺するっての」

 まして、相手はカノジョたる立場の人間だ。いちばん泣かせたくない、そういう人間。

 それを相手にうまく立ち回れるほど、俺は器用ではない。

 だけど。

「ソレと迷惑かどうかは別問題だと思うぞ」

「そうかなあ……」

 俺の意見に、瀬戸は憮然としながら呟く。言われた本人が言ってんだから、すぐに信じてもらいたいもんだ。



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