デートに行こう! 2
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 そういやコイツがこんなふうに泣くのを見たのは、これが二度目だ。一年前、はじめて瀬戸に会ったときコイツは泣いてて。

 あれから色々あって――瀬戸は涙ぐむことは沢山あったけど、今みたいにそれを完全に零すことはなかった。いつもギリギリで堪えていた。

 その彼女が泣いている。

(……スッゲー罪悪感)

 キリキリと胃が締め付けられるような思いで、俺は瀬戸から視線を外した。いや、俺が悪いんだけど。

 だけど。

(マジでどうしていいか分かんねえ……)

 頭を掻き毟りたくなったのは、必死で我慢する。でも、どうしたらいいのか分からないことに変わりない。こういうときって、何を言えばいいんだ?

 そして、同時に気がついた。だから瀬戸は俺の前で、泣かないようにしてたんだって。俺が困ることをアイツはちゃんと知ってたんだろう。きっと今の状態は、瀬戸にとっても不本意なもののはずだ。

 瀬戸は相変わらず、肩を震わせている。涙を拭くこともしない。

 本当は言わなきゃならないことも、言ってやりたいことも山のようにある。けれど俺は何も言えない。

 ――情けねえ。

 片方の拳を握りしめて、唇を噛み締めて。

 それでも彼女の背に当てた手はそのままに、俺は黙って隣にいるしかできなかった。

 瀬戸はまだ泣いている。

 ぽたりぽたりと、涙を零して――。



  【続】

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